日本におけるCOVID-19第2波によるうつ病リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2021/02/04

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる社会的混乱は今も続いており、これが国民の社会的抑制につながっている。北里大学の深瀬 裕子氏らは、COVID-19によるメンタルヘルス関連のリスク因子を明らかにし、具体的な対処方法について検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月12日号の報告。

 日本でCOVID-19の第2波が起こっていた2020年7月に、Webベースの調査を実施した。人口統計、こころとからだの質問票(PHQ-9)、怒りの状態、怒りのコントロール、コーピング尺度(Brief COPE)を測定した。設定変数によるPHQ-9スコアの多変量ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・対象者2,708人のうち、18.35%がうつ病であった。
・ロジスティック回帰分析では、抑うつ症状発症の予測因子は、以下のとおりであった。
●基礎疾患あり(オッズ比[OR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.32~2.92)
●無職(OR:1.85、95%CI:1.22~2.80)
●マイナスの経済状況の経験(OR:1.33、95%CI:1.01~1.77)
●怒りの状態(OR:1.17、95%CI:1.14~1.21)
●怒りのコントロール(OR:1.08、95%CI:1.04~1.13)
・一方、抑うつ症状発症のORが1未満であった因子は以下のとおりであった。
●年齢が高い(OR:0.97、95%CI:0.96~0.98)
●世帯収入800万円以上の高収入(OR:0.45、95%CI:0.25~0.80)
●既婚(OR:0.53、95%CI:0.38~0.74)
・対処戦略と抑うつ症状との関連について、ORは以下の順であった。
●プランニング(OR:0.84、95%CI:0.74~0.94)
●機器的サポートの利用(OR:0.85、95%CI:0.76~0.95)
●自粛(OR:0.88、95%CI:0.77~0.99)
●行動の放棄(OR:1.28、95%CI:1.13~1.44)
●自己非難(OR:1.47、95%CI:1.31~1.65)

 著者らは「日本ではロックダウンは行われなかったが、COVID-19パンデミックに伴う長期的な心理的苦痛によって、抑うつ症状の有症率は、パンデミック前の2~9倍に増加した。社会的混乱への対処または回避する方法を、1人または他者と実践することは、メンタルヘルスの維持に役立つが、人口統計的影響が対処戦略より強く、高リスク因子を有する人への治療が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)