片頭痛に対する生物学的製剤のレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2021/02/09

 

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体は、片頭痛の予防に効果があるといわれている。CGRPモノクローナル抗体であるeptinezumab、 erenumab、fremanezumab、ガルカネズマブは、臨床試験において有効性と良好な安全性および忍容性プロファイルを示している。erenumabは、完全ヒトモノクローナル抗体であるが、他の薬剤はヒト化モノクローナル抗体であり、これらの薬剤は免疫反応を引き起こす可能性がある。米国・テバファーマスーティカルのJoshua M. Cohen氏らは、CGRPモノクローナル抗体と免疫原性との関係、それらの潜在的な臨床的意義についてレビューを行った。The Journal of Headache and Pain誌2021年1月7日号の報告。

 主な結果は以下のとおり。

・抗薬物抗体(ADA)の発生率、その力価、臨床的重要性は、非常に多様であり、薬剤間および患者要因に依存する。
・中和抗体(NAB)は、生物学的製剤に結合し、その薬理活性を阻害または低下させるが、非NABは、薬理活性に影響を及ぼすことなく生物学的製剤に結合することがin vitroの試験において認められている。ただし、薬物動態や薬剤のクリアランスが影響を受ける可能性がある。
・標準化されたアッセイがないため、異なる生物学的製剤を用いた臨床試験全体の免疫原性に関するデータを直接比較することができない。
・片頭痛予防に対するCGRPモノクローナル抗体を評価した第II相、第III相試験および長期試験には、免疫原性に関するデータが報告されている(各薬剤で5件ずつ)。
・これらの研究全体で、ADAの発生率は1%未満~18%の範囲で変動していた。
・NABは、一般的とはいえず、発生率は0~12%の範囲であった。
・ADA形成に関連する有害事象は、まれであった。

 著者らは「より多くのCGRPモノクローナル抗体の研究が実施され、長期のフォローアップデータが利用可能になれば、片頭痛に対する生物学的製剤による治療は、免疫原性の発生率が低く、ADAに関連する有害事象がまれであることを示すエビデンスが増加し、安全性や忍容性が明らかになるであろう」としている。

(2月9日12:00 記事の一部を修正いたしました)

(鷹野 敦夫)