日本における緊急事態宣言下のマタニティハラスメントとうつ病との関連

提供元:ケアネット

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公開日:2021/02/10

 

 妊娠への差別として知られるマタニティハラスメントは、先進国において広まったままである。しかし、マタニティハラスメントによるメンタルヘルスへの影響を調査した研究は、十分とはいえない。北里大学の可知 悠子氏らは、日本における妊娠中のマタニティハラスメントとうつ病との関連を調査した。Journal of Occupational Health誌2021年1月号の報告。

 日本において一部地域の緊急事態宣言が続く2020年5月22日~31日に妊婦(妊娠確認時に就業していた女性)359人を対象に横断的インターネット調査を実施した。マタニティハラスメントは、国のガイドラインで禁止されている16事項のいずれかを受けた場合と定義した。うつ病の定義は、エジンバラ産後うつ病自己評価票日本語版(EPDS)スコア9以上とした。分析には、ロジスティック回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・就業していた妊婦の24.8%は、上司や同僚からマタニティハラスメントを受けていた。
・人口統計、妊娠状態、作業状態、COVID-19への恐怖で調整した後、マタニティハラスメントを経験した妊婦では、経験しなかった妊婦と比較し、うつ病を発症する可能性が高かった(オッズ比:2.48、95%信頼区間:1.34~4.60)。
・この関連は、COVID-19に伴うテレワークの有無に影響されなかった。

 著者らは「就業していた妊婦の約4分の1は、マタニティハラスメントを経験しており、経験しなかった女性よりもうつ病の有病率が高かった。テレワークを通じて、オフィスから物理的に離れたとしても、マタニティハラスメントによるうつ病への影響は減少しなかった。妊婦のメンタルヘルスと雇用を守るために、雇用主は法律を順守し、マタニティハラスメントを防止する措置を講ずる必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)