国内でも新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が月内にもはじまる見込みだが、新しいワクチンであることから副反応等を理由に、接種をためらう人も多い。
こうした状況を憂慮した医師を中心に、ワクチンに関するよくある質問に答えるLINEのチャットボットを利用した情報提供がはじまった。
この「コロワくんの相談室」はLINEに友達追加することで、無料で利用できる。
・ワクチンの接種方法
・ワクチンの効果
・ワクチンの仕組み
・ワクチンの副反応
という画面のメニューから、自分の知りたい内容を選んでいくと、ボットが事前に用意された回答を提示する。回答の下には関連する厚生労働省サイトや、回答の根拠となる論文誌へのリンクもつけられており、医療従事者が患者に説明する際にも利便性が高そうだ。
このボットは、米国マウントサイナイ医科大学に勤務する内科医、山田 悠史氏の発案でつくられたもの。氏は米国でいち早くワクチンを接種し、自身のSNSを使って日本人向けにワクチンに関する情報を提供してきた。しかし、多くの情報を発信しても質問が絶えず、誤った情報も多く出回っている状況を改善したいとボット開設を思い立ち、日本の医師やエンジニアの協力を得て、発案からわずか2週間で完成させたという。
ワクチン接種が進む米国でも、ワクチンに関する相談窓口となるコールセンターができたものの、多くの問い合わせからパンク状態が続き、副反応を疑った患者が医療機関に押し寄せるなど、混乱が続いているという。山田氏は「医師が発信する正しい情報を多くの人に届けることで日本のワクチン接種が進み、医療現場の負担軽減につながれば」とする。
現在は賛同・協力するメンバーが運営費用を負担している状況で、ボットのリリースとあわせ、クラウドファンディングを使った資金調達も行っている。
〈医師サポーター〉
代表:山田 悠史(マウントサイナイ医科大学 老年医学・緩和医療科)
副代表:高橋 宏瑞(順天堂大学医学部 総合診療科)
内科一般担当:原田 洸(岡山大学病院 総合内科・総合診療科)
感染症担当:小林 孝照(アイオワ大学 感染症科)
呼吸器担当:田中 希宇人(川崎市立川崎病院 呼吸器内科)
小児・アレルギー担当:堀向 健太(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科)
公衆衛生担当:仁科 有加(OECD 雇用労働社会政策局 医療課)
免疫学担当:石原 純(インペリアルカレッジロンドン バイオエンジニアリング専攻 講師/免疫創薬研究室主宰)
産婦人科担当:稲葉 可奈子(関東中央病院 産婦人科)
監修:紙谷 聡(エモリー大学 小児感染症科/米国立アレルギー感染症研究所主導 ワクチン治療評価部門)
<技術開発サポーター>
金子 穂積(Sun Asterisk CTOs’)
坂元 麻貴子(xenodata lab. CDO)
大山 晋輔(Spir CEO)
◆LINEボットの利用・クラウドファンディングへの参加は下記より◆
https://corowakun-supporters.studio.site/#project
(ケアネット 杉崎 真名)