うつ病から双極性障害への転換に影響を及ぼす怒りの感情

提供元:ケアネット

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公開日:2021/02/19

 

 怒りや易怒性といった感情は、躁病やうつ病(とくに混合状態)の患者でみられる双極性障害の顕著な症状である。オランダ・ライデン大学病院のRahele Mesbah氏らは、うつ病の既往歴を有する患者における、怒りや易怒性と双極性障害への転換との関連について調査を行った。Depression and Anxiety誌オンライン版2021年1月27日号の報告。

 オランダで実施されたうつと不安に関する9年間のフォローアップ調査より抽出したうつ病患者を対象とした。躁症状の評価は、Composite International Diagnostic Interviewを用いて、フォローアップ2、4、6、9年目に行った。躁症状と怒りに関連する因子を横断的に調査した。怒りに関連する因子を評価するため、Spielberger Trait Angerサブスケール、Anger Attack調査票、パーソナリティ障害調査票のクラスターBのパーソナリティ特性、反応的攻撃性尺度を用いた。反応的攻撃性が躁症状の発症を予測するかを評価するため、プロスペクティブにCox回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・双極性障害患者(77例)は、うつ病患者(349例)、寛解期うつ病患者(1,159例)と比較し、怒りや反応的攻撃性の特性スコアが有意に高かった。同様に、Anger Attack、反社会的特性、境界性特性も高かった。
・1,744例のプロスペクティブ分析では、反応的攻撃性は躁症状の発症を予測し(28例)、多変量調整ハザード比は1.4(95%信頼区間:1.02~1.93、p=0.037)であった。

 著者らは「怒りは、単極性うつ病から双極性障害への転換を予測するリスク因子である。双極性障害への転換が認められた患者は、怒り、興奮、過敏性がより多く出現することが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)