統合失調症患者における小児期の心理行動特性~日本のレトロスペクティブ研究

提供元:ケアネット

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公開日:2021/02/25

 

 統合失調症は、初期発達障害のフレームワークに適応することを示唆する科学的エビデンスが、疫学的研究や遺伝学的研究によって報告されているが、将来統合失調症を発症する子供の心理的行動の特徴は、十分に解明されていない。京都女子大学の濱崎 由紀子氏らは保護者による報告を通じて、小児期統合失調症患者に特有の特徴を明らかにするため、検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月26日号の報告。

 対象は、DSM-IV-TR基準を満たした20代の統合失調症外来患者54例および性別と年齢をマッチさせた健康対照者192例。すべての対象の6~8歳時の特徴を評価するため、対象者の保護者に対する子供の行動チェックリスト(CBCL)のレトロスペクティブ評価質問票を用いた。小児期統合失調症に特有の心理行動の特徴を推定するため、t検定、ロジスティック回帰、ROC曲線解析を用いた。得られたロジスティック回帰モデルを使用して、CBCLスコアに基づいてリスク予測アルゴリズムのプロトタイプを作成した。

 主な結果は以下のとおり。

・8つのCBCLサブスケールのtスコアのうち、その後の統合失調症診断と有意な関連が認められた項目は、以下のとおりであり、これらの平均スコアは、小児期の臨床範囲に該当しなかった。
 ●引きこもり(p=0.002)
 ●思考の問題(p=0.001)
 ●攻撃的行動の欠如(p=0.002)
・8つのCBCLサブスケールに基づくロジスティック回帰モデルのアルゴリズムは、ROC曲線下の面積が82.8%(95%CI:76~89)であった。このことは、統合失調症の晩年発症に関して、アルゴリズムの予測精度が中程度であることを示唆している。

 著者らは「保護者の報告によると、統合失調症の発症を予測する小児期の心理的行動の特性に違いがあることが示唆された。この新たに開発されたアルゴリズムは、その有効性をさらにテストするうえで、将来の研究に使用することが望まれる」としている。

(鷹野 敦夫)

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