KRASG12C変異は大腸がんの予後不良と関連しているとされる。AMG510(sotorasib)はKRASG12Cを標的とするファーストインクラスの低分子化合物である。 第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、KRASG12C変異陽性の固形がん患者を対象とした多施設共同非盲検CodeBreak100試験の中から、大腸がん患者に関する結果を、国立がん研究センター東病院の久保木 恭利氏が発表した。
・対象:既治療の局所進行または転移を有するKRASG12C変異陽性固形がん患者
・試験薬:sotorasib(用量漸増パート[180mg、360mg、720mg、960mg]、用量拡大パート[960mg])3週ごと、進行または忍容できない有害事象が発現するまで投与
・評価項目
[主要評価項目]安全性
[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)など
主な結果は以下のとおり。
・データカットオフ時(2020年1月8日)、42例の大腸がん患者が登録され、全例がsotorasibの投与を受けた(年齢中央値57.5歳、女性21例)。
・sotorasib治療期間は、3ヵ月以上が22例(52.4%)、6ヵ月以上は8例(19.0%)であった。
・治療関連有害事象(TRAE)は20例(47.6%)に認められ(Grade2以下18例、Grade3 2例)、用量制限毒性、治療関連死、投与中止に至ったTRAEは認められなかった。
・ORRは7.1%(3/42例)、DCRは76.2%(32/42例)であった。
・960mg投与症例でのORRは12.0%(3/25例)、DCRは80.0%(20/25例)、安定(SD)期間の中央値は4.2ヵ月であった。
既治療のKRASG12C変異陽性の大腸がん患者に対し、sotorasibによる単剤療法は良好な忍容性を示し、多くの患者で病勢コントロールが可能であった。
(ケアネット 細田 雅之)