NEJ026試験はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にベバシ ズマブとエルロチニブの併用療法をエルロチニブ単剤療法と比較した第III相試験である。2018年に無増悪生存期間(PFS)において、ベバシ ズマブとエルロチニブの併用の統計学的有意が報告された。18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、全生存期間(OS)、および血漿EGFR変異検査に関する結果が宮城県立がんセンターの福原 達郎氏により発表された。
・対象:化学療法治療歴のない非扁平上皮EGFR変異陽性NSCLC。Stage IIIB/IVまたは術後再発例(無症候性の脳転移症例も登録)
・試験群:ベバシズマブ+エルロチニブ(BE群)
・対照群:エルロチニブ単剤(E群)
・主要評価項目:独立評価委員会によるPFS
・副次評価項目:OS、奏効率、奏効期間、安全性など
・探索的評価項目:2次治療後までを含めたPFS(PFS2)、バイオマーカー検索、血漿EGFR変異解析(治療前[P0]、試験治療開始 から6週間後[P1]、初回増悪[P2]の時点で解析)。
主な結果は以下のとおり。
・2015年6月~2016年8月に226例が登録され、評価対象はBE群(112 例)とE群(112例)となった。
・PFS中央値はBE群16.9ヵ月、E群の13.3ヵ月と、有意にBE群で良好であった(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.01573)。
・OSの中央値はBE群50.7ヵ月、E群46.2ヵ月であった(HR:1.0007、95%CI:0.681~1.1490、p=0.973)。
・血漿EGFR変異検査の結果(P0 、P1)から各治療群のPFS
[BE群]P0陰性(-)P1陰性(-)集団18.1ヵ月、P0 (+)P1(+)6.0ヵ月、P0(+)P1(-)15.5ヵ月。
[E群]P0(-)P1(-)16.7ヵ月、P0 (+)P1(+)4.3ヵ月、P0(+)P1(-)11.1ヵ月。
・BE群においては、P0(+)P1(-)集団のPFSが、もっとも良好なPFSを示すP0(-)P1(+)に近いことから、 、P0(+)P1(-)集団 でのベバシズマブの追加効果が示唆された。
(ケアネット 細田 雅之)