全身痙攣重積状態(GCSE)の治療に特定のベンゾジアゼピンを投与することがガイドラインで推奨されているが、一般的には少用量で投与されている。米国・サウスカロライナ大学のKyle A. Weant氏らは、救急受診したGCSE患者の初期マネジメントにおけるベンゾジアゼピン投与戦略について、評価を行った。The American Journal of Emergency Medicine誌オンライン版2021年2月6日号の報告。
GCSE治療のために救急科でベンゾジアゼピン投与を受けた患者を対象に、レトロスペクティブにレビューした。初回ベンゾジアゼピン治療後に発作の改善を達成した患者の特徴を評価した。救急受診した患者222例に対し、ベンゾジアゼピンは403回投与されていた。そのうち、推奨事項を順守していた割合は1.5%であった。
主な結果は以下のとおり。
・1次治療では、ベンゾジアゼピン平均投与量1.6mg(0.02mg/kg)であり、患者の86.8%に良好な反応が認められた。
・早期に発作が改善した患者とそうでない患者との間に、投与量の差は認められなかった(p=0.132)。
・早期に発作が改善した患者では、以下の割合が有意に低かった(各々、p<0.05)。
●ベンゾジアゼピン追加投与
●挿管
●集中治療室または病院への入院
・早期に抗てんかん薬治療を受けた患者では、以下の割合が有意に低かった(各々、p<0.05)。
●ベンゾジアゼピンの追加投与
●挿管
●集中治療室または病院への入院
著者らは「入院前や救急受診環境におけるベンゾジアゼピン投与は、ガイドラインで推奨されているよりも少用量であった。早期の発作改善や早期に抗てんかん薬を投与された患者では、いくつかの重要な臨床アウトカムと関連していることが明らかとなった。今後は、ベンゾジアゼピンの最適な投与戦略や早期の抗てんかん薬投与の影響を調査する必要性がある」としている。
(鷹野 敦夫)