早期乳がんアジュバントでCDK4/6阻害薬は有用か/ESMO Open

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/31

 

 HR+/HER2-の進行乳がんにおいてはCDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用は標準治療だが、アジュバントにおけるCDK4/6阻害薬の評価は一定していない。イタリア・Hunimed UniversityのElisa Agostinetto氏らは、系統的レビューとメタ解析により、HR+/HER2-早期乳がんのアジュバントにおける内分泌療法へのCDK4/6阻害薬追加による生存および安全性アウトカムへの影響を評価した。その結果、無浸潤疾患生存(IDFS)におけるベネフィットの傾向と、毒性(全Grade)および投与中止リスクの増加がみられた。ESMO Open誌2021年3月17日号に掲載。

 本研究では、2020年12月15日までPubMed、Cochrane、EMBASEデータベースおよび主要な学会抄録集の系統的レビューを行った。HR+/HER2-の早期乳がんのアジュバントでCDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用および内分泌療法単独で治療されたすべての無作為化比較試験について、ランダム効果モデルを用いて生存および安全性アウトカムの各統合ハザード比(HR)またはオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・3件の研究から入手可能なデータ(1万2,647例)において、内分泌療法へのCDK4/6阻害薬の追加は、IDFSでのベネフィットを有する傾向がみられた(HR:0.85、95%CI:0.71~1.01、p=0.071)。
・遠隔無再発生存の有意な改善は見られなかった(HR:0.83、95%CI:0.58~1.19、p=0.311)。
・内分泌療法へのCDK4/6阻害薬の追加により、全Gradeの毒性(OR:9.36、95%CI:3.46~25.33、p<0.001)および早期投与中止リスク(OR:22.11、95%CI:9.45~51.69、p<0.001)が大きく増加した。

 著者らは、「アジュバントでのCDK4/6阻害薬の役割については議論の余地があり、臨床診療の直接的な変化を支持する前にこれらの無作為化比較試験の長期のフォローアップが必要」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)