妊娠中のSSRIやSNRIなどの抗うつ薬使用と子供の自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如多動症(ADHD)リスクとの関連について、観察研究では一貫性が認められていない。関連を指摘する報告に対し、考慮されていない交絡因子の影響を示唆する見解も認められる。イスラエル・ヘブライ大学のRegina Leshem氏らは、この関連性を検討し、バイアス原因を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Current Neuropharmacology誌オンライン版2021年3月3日号の報告。
Medline、Embase、Cochrane Libraryより、2019年6月までに報告された妊娠中の抗うつ薬使用とASD、ADHDとの関連を調査した研究を検索した。データの選択および抽出は、PRISMA 2009ガイドラインに基づき実施した。ランダム効果モデルを用いて結果をプールし、各研究の調整済み推定値を用いてオッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・18件の研究をメタ解析に含めた。
・出生前のSSRI、SNRI使用と子供のASD、ADHDリスクとの間に関連性が認められた。
●ASD(OR:1.42、95%CI:1.23~1.65、I2=58%)
●ADHD(OR:1.26、95%CI:1.07~1.49、I2=48%)
・妊娠前のSSRI、SNRI使用においても、同様の関連が認められた。
●ASD(OR:1.39、95%CI:1.24~1.56、I2=33%)
●ADHD(OR:1.63、95%CI:1.50~1.78、I2=0%)
著者らは「妊娠中のSSRI、SNRI使用と子供のASD、ADHDリスクとの関連が認められたが、この関連は妊娠前の使用でもみられており、考慮されていない交絡因子が影響している可能性がある。今後、考慮されていない交絡因子をさらに評価し、ネットワークメタ解析が行われることが望まれる」としている。
(鷹野 敦夫)