日本糖尿病学会(理事長:植木浩二郎)は、同学会と日本老年医学会で合同編集・執筆した『高齢者糖尿病治療ガイド2021』を同学会のホームページで3月24日に発表し、刊行した。
超高齢社会のわが国では、高齢者の糖尿病管理は深刻な問題であり、両学会は2015年4月に合同委員会を設置。「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」の策定・公表やさまざまなガイドを発行することで高齢者糖尿病診療に道筋を示してきた。
高齢者糖尿病治療ガイド2021では11の具体的な症例を提示
今回改訂された高齢者糖尿病治療ガイド2021では、高齢糖尿病患者に多い認知症、サルコペニア・フレイル、“mulitimorbidity”などの併存症、介護保険など高齢者をサポートする諸制度などの高齢者糖尿病患者に特化した内容が掲載されている。また、読者の理解に役立つようにと「高用量SU薬投与中の高齢者」や「中等度の認知症」など11の具体的な症例を提示し、糖尿病診療に従事する医療者以外にでも参考にできるように工夫されている。
下記に高齢者糖尿病治療ガイド2021の主要な項目を示す。
高齢者糖尿病治療ガイド2021主要な目次項目
1.高齢者糖尿病の特徴
2.高齢者糖尿病の診断
3.高齢者糖尿病の総合機能評価
4.高齢者糖尿病の治療方針
5.高齢者糖尿病の食事療法
6.高齢者糖尿病の運動療法
7.高齢者糖尿病の薬物療法
8.低血糖およびシックデイ
9.高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドローム、サルコペニア肥満
10.高齢者糖尿病における合併症とその対策
11.高齢者に多い併存症とその対策
12.さまざまな病態における糖尿病の治療
13.高齢者糖尿病をサポートする制度
具体的な症例(各項目の間に挿入)
[症例1]2型糖尿病の高齢女性
[症例2]カテゴリーIIの高齢女性
[症例3]カテゴリーIIの高齢男性
[症例4]高齢者で高用量SU薬を使用している患者への治療見直し
[症例5]非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を合併した2型糖尿病
[症例6]認知機能の低下でインスリンの自己注射が困難な症例
[症例7]心血管疾患を合併する糖尿病患者にGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬を検討
[症例8]カテゴリーII:手段的ADL低下例
[症例9]カテゴリーIII:中等度の認知症例
[症例10]認知症合併例の治療例
[症例11]フレイル合併例の治療例
付録/索引
(ケアネット 稲川 進)