抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体モノクローナル抗体(抗CGRP抗体)は、反復性および慢性の片頭痛の予防に対するランダム化比較試験において有効性が示されているが、現在確立されている治療方法と直接比較した研究は行われていない。ギリシャ・General Hospital of AigioのKonstantina Drellia氏らは、反復性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、プロプラノロールおよび慢性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、onabotulinumtoxinAのベネフィット・リスク比の違いについて検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年2月10日号の報告。
有効性の効果指標として、片頭痛日数を50%以上減少させるために必要な患者数(NNTB50%)を用いた。リスクの指標として、治療中止につながる有害事象を経験するために必要な患者数(NNTHD-AE)を用いた。likelihood to help versus harm values(LHH:NNTH/NNTB)は、第III相ランダム化比較試験のデータを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・検討したすべての薬剤のうち、トピラマート200mg/日を除いて、反復性片頭痛予防に対するベネフィットがリスクを上回っていた(LHH>1)。
・検討したすべての用量の抗CGRP抗体は、反復性片頭痛予防に対しプロプラノロール、トピラマートよりも、慢性片頭痛予防に対しonabotulinumtoxinA、トピラマートよりも、高いLHH値を示した。
・最も高いLHH比が認められた抗CGRP抗体は、反復性片頭痛予防ではfremanezumab、慢性片頭痛予防ではガルカネズマブであった。
著者らは「抗CGRP抗体は、反復性および慢性の片頭痛に対し、これまで確立されていた治療法よりもより有用なベネフィット・リスク比を示すことが明らかとなった。さらにこれらの結果を確認するためにも、直接比較研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)