HER2+進行乳がんへのT-DXdによるILDの特徴/ESMO BREAST 2021

既治療のHER2陽性進行乳がんに高い有効性を示すトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のリスクとして間質性肺疾患(ILD)がある。本剤の第I/II相試験で発現したILDの特徴を解析したところ、承認用量ではほとんどの場合、低Gradeで、治療開始から12ヵ月以内に発現し、12ヵ月を超えるとリスクが低下することがわかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCharles A. Powell氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。
本研究では、2015~18年に登録された2つの第I相試験(DS8201-A-J101、DS8201-A-A104)および第II相DESTINY-Breast01試験において、承認用法・用量でのT-DXd単剤療法(5.4mg/kg、3週間ごと)を受けたHER2陽性進行乳がん患者の胸部画像と臨床データを独立判定委員会が後ろ向きにレビューし、薬物関連と判定したILDを報告した(データカットオフ:2020年6月8日)。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象は245例(第I相:61例、第II相:184例)、T-DXd治療期間中央値は9.7ヵ月(範囲:0.7〜40.3)だった。
・38例(15.5%)に薬物関連ILDが発現し、ほとんどがGrade1または2(30例、12.2%)だった。Grade3および4が1例(0.4%)ずつ、Grade5が6例(2.4%)だった。
・最初にILDが発現するまでの期間の中央値は5.6ヵ月(範囲:1.1〜20.8)で、38例中37例(97%)が12ヵ月以内に発現した。
・患者の42%が12ヵ月以上治療されたが、12ヵ月以降にILDを新規に発現するリスクは低かった。
・独立判定委員会の評価では、44件中27件(61%)のILDの発現時期は、治験医師による報告よりも早かった(中央値の差:52日、範囲:1〜288)。
・Grade2~4の24件中14件(58.3%)、Grade5の6件中3件(50%)で全身性ステロイドを投与された。ILD発現から全身性ステロイドの投与開始までの期間の中央値は25.0日(範囲:1~87)だった。
・44件中43件は、改訂された毒性管理ガイドラインを臨床試験で使用した2019年12月15日より前に発現していた。
これらの結果から、高GradeのILDを防ぐには、早期発見および最新のガイドラインによる適切な管理が重要であると結論した。
(ケアネット 金沢 浩子)
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