双極性障害の治療では、非定型抗精神病薬の使用が増加している。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のKamyar Keramatian氏らは、最近発表された双極性障害に対する非定型抗精神病薬の有効性および安全性に関するランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施した。Current Psychiatry Reports誌2021年5月8日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・急性期双極I型および双極II型うつ病に対するクエチアピン治療の有効性は、いくつかの研究で支持されていた。
・クエチアピン補助療法は、治療抵抗性双極性うつ病に対し、プラセボよりも優れた有効性が認められた。
・双極I型うつ病に対しcariprazine1.5mgによる治療が有効であった。
・月1回のアリピプラゾール持続性注射剤400mgによる治療は、代謝への影響を最小限にとどめたうえで、躁症状の予防に有効であった。
・若年の双極性障害患者では、急性うつ病に対してルラシドンの有用性、忍容性が認められ、急性躁病および混合性エピソードに対してアセナピンの有効性が認められた。
著者らは「最近発表されたRCTでは、双極性障害のさまざまなステージにおける非定型抗精神病薬の有効性が支持されていた。今後の研究において、研究が不十分な小児期、老年期、双極II型障害などに焦点を当てるとともに、認知機能やQOLに注目した研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)