新型コロナ感染の後遺症リスクが高い人の特徴/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/02

 

 新型コロナウイルス感染によって後遺症が出現することは多数報告されているが、重症度によって異なるのか、どんな人に起こりやすいのかなど具体的なことは不明だ。そこで、ユナイテッド・ヘルスグループOptumLabsに所属するSarah E. Daugherty氏らが新型コロナウイルス感染症の急性期後(回復期・慢性期)の後遺症発症リスクを調べた結果、「50歳以上」「既往あり」「新型コロナで入院」に該当する患者が最もリスクが高くなることを明らかにした。一方で、メンタルヘルスなどのいくつかの後遺症リスクは、年齢や既往歴の有無に関係なく増加することも示唆した。BMJ誌2021年5月19日号掲載の報告。

 研究者らは、18~65歳における新型コロナウイルス感染症の回復期・慢性期に偶発的な後遺症を発症する超過リスクと相対危険度を調べるため、2019年1月から新型コロナウイルス感染症の診断日まで継続的に健康保険プランに登録されていた18〜65歳について後ろ向きコホート研究を行った。対象者を傾向スコアマッチングで調整後、3群(2020年群[新型コロナの診断がなかったもののPCR陽性または2020年に新型コロナで入院した18~65歳]、2019年群[2020年のパンデミック時に医療サービスの利用減少で発生する可能性のある確認バイアスを説明するために作成したグループ]、ウイルス性下気道疾患の既往群[過去にインフルエンザ、急性気管支炎などを発症した18~65歳])と比較し、新型コロナ急性感染後4ヵ月の超過リスクとハザード比を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象者の14%(2万7,074例/19万3,113例)は、回復期・慢性期に治療を要する1つ以上の新たなタイプの後遺症があり、その割合は2020年群よりも4.95%高かった。
・後遺症リスクは、50歳以上ではあらゆる症状において最も高かった。一方、18 ~ 34歳の若年成人では高血圧、不整脈、凝固亢進状態、記憶障害、糖尿病、疲労などが、いくつかの条件でわずかではあるが有意に上昇した(すべてのp<0.001)。メンタルヘルスを発症するリスクは、年齢に関係なく有意に増加した (相互作用のp=0.35)。
・新型コロナウイルス感染に起因する超過リスクは、急性期から4ヵ月後の診断で100人あたり0.02~2.26と低かった(すべてのp<0.001) 。

 研究者らは、「新型コロナウイルス感染の回復期・慢性期において、ほかのウイルス性疾患ではあまり見られない特定のタイプの後遺症を含む、臨床的に新しい後遺症を発症する過剰なリスクが示され、これは医療計画にも影響する」としている。

(ケアネット 土井 舞子)