子供への新型コロナワクチン、接種を進めるべき9つの理由

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/15

 

 2021年6月1日、日本におけるCOVID-19ワクチンの接種対象が、16歳から12歳に引き下げられた。海外での子供を対象とした治験のデータ等を踏まえたものだ。Pediatrics誌2021年6月号には、子供へのワクチン接種を進めるべきとする提言が掲載されている。

 この中で、成人へのワクチン接種が進むことでCOVID-19の感染流行は抑えられるものの、ワクチン忌避者や抗体価の低下によって、COVID-19を根絶することは難しいとし、今後も散発的な発生や時折の大流行という形で存続する可能性がある、とした。それを踏まえ、子供の臨床試験でワクチンの有用性が明らかになれば、子供たちへのワクチン接種を義務付けることが重要だとし、その根拠として下記を挙げている。

1)子供の感染は多くの場合で無症候か軽症だが、まれに小児多系統炎症性症候群(MIS-C)や肺疾患のかたちで重症化する。
2)子供が感染してウイルスを排泄することで、親や教師、他の子供に感染する可能性がある。
3)子供の感染は無症候のことが多く、他の予防策では十分ではない。
4)変異株によって長期的に免疫が低下したとしても、感染や再接種への対応を早めることができる。
5)高い接種率と集団免疫獲得のためには、子供へのワクチン接種が必要である。
6)英国で発生したような変異株は、子供への感染力がより強い。
7)子供の予防接種プログラムは、国際的に感染症減少に大きな成果を上げた実績がある。
8)子供の予防接種にあたって、十分に整備された国際的なインフラがある。
9)教師への予防接種に続いて子供への予防接種を行うことで、学校の開校を加速させ、子供たちの活動を正常化させることができる。

 米国小児科学会は、2020年12月までに200万例を超える小児感染者が発生したと報告しており、22の州に住む子供達の有病率を調べたところ、10万人あたり17.2人の入院率が明らかになり、カナダでは臨床症状が確認された例の1.9%を占め、うち約7%が集中治療を受けた。5歳未満の子供でも重症化することがあり、12~17歳では重症化する割合が高いことが報告されている。さらに、川崎病に類似したMIS-Cは学童期の子どもに最も多く発生し、平均年齢は8歳だった。

 著者らは、上記の点に加え、妊婦や高齢者への感染防止の観点からもワクチンの子供への有用性が確認され次第、子供への接種を義務化し、継続的に大規模な予防接種キャンペーンを行うべきだとしている。

(ケアネット 杉崎 真名)