インターネット配信によるアトピー性皮膚炎の認知行動療法

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/06/24

 

 インターネットを利用した認知行動療法(CBT)は、アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果がみられ、治療者が費やす時間や手間などは少なくて済むことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のErik Hedman-Lagerlof氏らが行った無作為化試験の結果、明らかになった。アトピー性皮膚炎の皮膚症状は共通しており、激しいかゆみと慢性炎症による衰弱した皮膚の状態で特徴付けられ、アクセシビリティの高い行動療法が必要とされていた。結果を踏まえて著者は、「インターネットを利用したCBTは、共通した皮膚症状を有する患者に対して、効果的な補助行動療法へのアクセスを潜在的に増やすものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。

 研究グループは、成人アトピー性皮膚炎患者に対するインターネットを利用した拡張性の高いCBTの有効性を調べるため、スウェーデンのストックホルムにある医科大学で無作為化試験を実施した。

 スウェーデン全国から102例の成人アトピー性皮膚炎患者を集め、1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方には12週間にわたる治療者ガイド下のインターネットCBTを提供し(51例)、もう一方には標準ケアについて示した説明書を与えた(対照群51例)。介入は2017年3月29日~2018年2月16日に行われた。最初の被験者がスクリーニングデータを提供したのは2016年11月27日、最後の1年フォローアップの評価が行われたのは2019年6月28日であった。

 主要アウトカムは、Patient-Oriented Eczema Measureで測定したアトピー性皮膚炎の症状軽減の群間平均差で、12週の治療期間中のintention to treatをモデル化した。

 主な結果は以下のとおり。

・無作為化を受けた102例は、平均年齢37(SD 11)歳、女性が83例(81%)であった。
・主要解析の結果、インターネットCBTを受けた患者は対照群と比較して、Patient-Oriented Eczema Measureで測定したアトピー性皮膚炎症状の週当たりの軽減平均値が有意に大きく(B=0.32、95%信頼区間[CI]:0.14~0.49、p<0.001)、治療後の調整後効果量は中等量~大量であった(d=0.75、95%CI:0.32~1.16)。
・副次解析において、インターネットCBTは、かゆみの激しさ、知覚ストレス、睡眠障害、うつ病も、有意に大幅に改善することが示唆された。
・それらの恩恵は、フォローアップ12ヵ月時点でも維持されていた。
・治療満足度は高く、また、治療者がインターネットCBT提供に要したのは、患者1人当たり平均39.7(SD 34.7)分であった。

(ケアネット)

[ あわせて読みたい ]