再発/難治性濾胞性リンパ腫、CAR-T(tisa-cel)は有望(ELARA)/ASCO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/26

 

 複数回治療を受けた再発/難治性濾胞性リンパ腫(r/r FL)における抗CD19 CAR-T細胞療法薬tisagenlecleucel(tisa-cel)の有効性と安全性を評価した国際単群第II相試験「ELARA試験」の主要解析の結果を、米国・ペンシルベニア大学のStephen J. Schuster氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。高い奏効率と良好な安全性プロフィールが示され、r/r FL患者にとって有望な治療であることを報告した。

 FL患者の約20%は初回治療後2年以内に再発し、治療ラインが増えるに従いアウトカムは不良となっていくことから、新たな治療が切望されている。tisa-celは、難治性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者において持続的奏効や良好な安全性プロファイルが示されていた。

・対象:18歳以上r/r FL(Grade1-3A)、2レジメン以上の前治療に抵抗性または自家幹細胞移植後再発患者98例
・介入: tisa-cel(0.6-6×108 CAR+ viable T細胞)投与、ブリッジング治療可
・評価項目:
[主要評価項目]Lugano分類(2014)による完全奏効率(CRR)
[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、細胞動態

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフ日(2020年9月28日)での投与例は97例(年齢中央値57.0歳)。前治療回数中央値は4で、5回以上が27.8%(27例)を占めた。
・追跡期間中央値は10.6ヵ月であった。
・安全性評価(97例)において、治療関連有害事象疑いは75例(77.3%)、Grade3/4は44例(45.4%)であった。死亡は3例であった。
・投与後8週以内のとくに注目すべき有害事象(AESI)において、神経毒性の発生は全Gradeで9.3%であり、重篤な神経毒性症候群(ICANS)は1例のみであった。
・同様にサイトカイン放出症候群(CRS)の発生は、全Gradeで48.5%、Grade3以上は報告されなかった。
・有効性の評価(94例)において、主要評価項目のCRRは66%(95%信頼区間[CI]:56~75)、ORRは86%(95%CI:78~92)だった。
・PFS、OSはいずれも未到達であった。6ヵ月時点のPFSは76%(95%CI:65~84)であった。

 Schuster氏は、「tisa-celは、r/r FL患者の2レジメン以降の治療としてメリットがあると思われる」と報告した。

(ケアネット)

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