日本人CVD高齢者のMCI検出に対するRDST-Jの有用性

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/28

 

 心血管疾患(CVD)を有する高齢者では、認知機能低下が認められることが多く、このことでセルフマネジメント能力を低下させる可能性がある。しかし、軽度認知障害(MCI)を鑑別するための方法は、臨床現場で常に実行可能であるとは限らない。名古屋大学の足立 拓史氏らは、認知症の認知機能低下を簡易的に判定する検査ツールRapid Dementia Screening Test日本語版(RDST-J)を用いることで、MCI検出が可能かを評価した。Journal of Geriatric Cardiology誌2021年4月28日号の報告。

 CVDにより入院した65歳以上の患者を対象にレトロスペクティブ単一施設研究を実施した。入院前に認知症の診断を受けていた患者は除外した。各患者の認知機能は、RDST-JおよびMCIの標準的なスクリーニングツールであるMontreal Cognitive Assessment日本語版(MoCA-J)を用いて、退院時に測定した。2つの評価尺度の相関を評価するため、スピアマンの順位相関係数を用いた。RDST-JのMCI検出精度を評価するため、ROC分析を用いた。MCIの定義は、MoCA-Jスコア25以下とした。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者数は、78例であった(平均年齢:77.2±8.9歳)。
・RDST-JとMoCA-Jスコアに強い相関が認められた(r=0.835、p<0.001)。
・ROC分析では、RDST-Jスコア9以下において、MCI検出感度が75.4%、特異度が95.2%、AUCが0.899(95%CI:0.835~0.964)であった。
・認知症の可能性が高い患者を除外した場合でも、同様のカットオフ値(RDST-Jスコア4以下)が特定された。

 著者らは「RDST-Jは、CVD高齢患者のMCIを検出するための簡易的かつ効果的なツールであると考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)