ファイザー/モデルナワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/07/09

 

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARSCoV-2))であるコミナティ筋注(ファイザー)とCOVID-19ワクチンモデルナ筋注(武田薬品工業)について、使用上の注意の「重要な基本的注意」の項に心筋炎および心膜炎に関する注意喚起を追記するよう、7月7日付けで改訂指示が発出された。

 今回の改訂指示は、国内ではこれらのワクチンとの因果関係が否定できない心筋炎および心膜炎の副反応疑い報告はないものの、以下の状況を考慮し、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断されたことによる。
・海外において、因果関係は不明であるが、これらのワクチンの接種後に心筋炎および心膜炎が報告されていること
・海外において、心筋炎および心膜炎の注意喚起がなされていること
・国内においても、因果関係は不明であるが、症例集積が認められること
・心筋炎、心膜炎が疑われる症状が認められた場合には医師の診察を受ける旨をあらかじめ被接種者に指導することが、早期発見および重症化への対処の上で重要であると考えること
・接種対象者の拡大に伴うAYA世代への接種数増加が予想されること

 なお、国内で集積された症例は、心筋炎関連はコミナティ筋注で12例(うち死亡2例)、COVID-19ワクチンモデルナ筋注で1 例(死亡例なし)、心膜炎関連はコミナティ筋注で3例(死亡例なし)、COVID-19ワクチンモデルナ筋注では報告されていない。いずれも、因果関係が否定できない症例は報告されていない。

 両ワクチンの添付文書における改訂(新設)は以下のとおり。

8. 重要な基本的注意
本剤との因果関係は不明であるが、本剤接種後に、心筋炎、心膜炎が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。

15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
海外において、因果関係は不明であるが、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)接種後に心筋炎、心膜炎が報告されている。報告された症例の多くは若年男性であり、特に2回目接種後数日以内に発現している。また、大多数の症例で、入院による安静臥床により症状が改善している。

(ケアネット 金沢 浩子)