SGLT2阻害薬エンパグリフロジンが、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)患者を対象とした第III相EMPEROR-Preserved試験において、主要評価項目(心不全による心血管死または入院いずれかの最初のイベントまでの期間)を達成し、糖尿病の有無にかかわらず、HFpEF患者の心血管死または心不全による入院の複合リスクを有意に減少させたことを、ドイツ・べーリンガーインゲルハイムと米国・イーライリリーが、7月6日、プレスリリースで発表した。本試験の結果は、2021年8月の欧州心臓病学会(ESC)年次学術集会で発表される予定。
EMPEROR-Preserved試験は、慢性HFpEF患者5,988例を対象に、プラセボと比較した1日1回のエンパグリフロジン10mg服用の有効性と安全性を評価するための第III相ランダム化二重盲検比較試験である。
「HFpEFに対する最初で唯一の成功した試験」と題された速報では、結果の詳細は明らかにされていないが、両社は「今回得られた所見は、駆出率に関係なく、あらゆる形態の心不全におけるエンパグリフロジンの有効性を示している。また、安全性プロファイルは、既知のプロファイルと概ね一致していた」と報告している。
イーライリリーの副社長Jeff Emmick氏は、「エンパグリフロジンは、2型糖尿病と心血管疾患のある人々の心血管死を減らす最初のSGLT2阻害薬。今度は、心不全というもう1つの重要なマイルストーンに到達した。本結果は、これまで治療が非常に困難だったタイプの心不全に有望だ」とコメントした。
本プレスリリースは、日本心不全学会の公式Twitterが取り上げ、30件以上も引用ツイートされるなど、SNSでも話題を呼んでいる。
(ケアネット 堀間 莉穂)