7月14日開催の第43回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいて、飲食店における国推奨の感染対策チェックリストの遵守状況とクラスター発生との関連についての調査結果が公表された。感染対策の遵守率はクラスター発生店で低く、個別の感染対策としては、アクリル板の設置や他グループと1m以上の距離をとること、トイレ等への消毒設備の設置のほか、就業時の検温などスタッフ側の対応もクラスター発生防止との関連性が高いと考えられた。
[調査概要]
2020年10月~2021年5月に国内でクラスター(※1)の発生した12施設(和歌山県8施設、岐阜県2施設、沖縄県[宮古島]2施設)および対照群(※2)19施設(すべて宮古島)に対し、有症者・接触・飛沫・エアロゾル感染対策を中心として、計18問(※3)の質問アンケート調査を実施。
※1:クラスターは、上記期間中に8人以上の感染者が生じた施設とする。
※2:対照群は、同期間中に感染者数2人以下の施設で、クラスターの発生した施設と規模や業務形態が同程度の施設を抽出した。
※3:有症者対策3項目、接触感染対策6項目、飛沫感染対策5項目、エアロゾル感染対策4項目の計18項目
[クラスターの有無における感染対策の遵守率]
・18項目のうち、対策を行っていると答えた割合(感染対策遵守率)は、クラスター発生群44.4%に対し、対照群では85%であった(p<0.001)。
[18項目のうちクラスターとの関連性が考えられた感染対策]
・トイレなど公共の場に消毒設備を設置:クラスター発生群(該当対策を行っていた施設の割合)50% vs. 対照群100%(p<0.001)
・他のグループとの距離を1メートル以上とっている:18.2% vs.94.7%(p<0.001)
・他のグループとの間にアクリル板が設置されている:9.1% vs.89.5%(p<0.001)
・スタッフは就業時に体温測定と体調確認をしている:54.5% vs.100%(p=0.001)
・飲食時以外はマスクを着用するよう客に促している:33.3% vs.89.5%(p=0.001)
・客が入れ替わるタイミングでテーブル等を消毒している:60% vs.100%(p=0.003)
・スタッフは客が触れた物を扱ったあと手指衛生を行っている:60% vs.100%(p=0.003)
・スタッフは常にマスクを着用して接客している:50% vs.94.7%(p=0.004)
・カラオケを提供していない:16.7% vs.68.4%(p=0.005)
・窓やドアを開けて定期的に換気している:60% vs.94.7%(p=0.019)
・スタッフに症状を認めるときは検査を受けさせている/保健所の指示に従っている/休ませている:40% vs.90.9%(p=0.040)
・トイレにペーパータオルを設置している:80% vs.100%(p=0.043)
(ケアネット 遊佐 なつみ)