ビタミンBと認知症リスクに関する性差~日本のメモリークリニック外来患者での調査

提供元:ケアネット

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公開日:2021/07/27

 

 認知症や認知機能障害は、重大な社会的および医学的な問題の1つである。ビタミンBと認知機能低下には明確な関係が認められるが、男女間の差に関しては、十分な評価が行われていない。昭和大学の三木 綾子氏らは、性別によるビタミンB1またはB12と認知症との関連を調査した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年4月9日号の報告。

 2016年3月~2019年3月に昭和大学病院のメモリークリニック外来を受診した188例を対象に、性別によるビタミンB1またはB12と認知症との関連を調査した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)日本語版、改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)を用いた。ビタミンレベルを測定するため、血液検査を実施した。ロジスティック回帰分析を用いて、認知症のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。ビタミンレベルに応じて3つに分類した。

 主な結果は以下のとおり。

・ビタミンレベルが高い女性と比較し、ビタミンレベルが低い女性では、認知症(MMSEスコア23以下)のORの有意な増加が確認された。
 【ビタミンB1】OR:3.73、95%CI:1.52~9.16
 【ビタミンB12】OR:2.97、95%CI:1.22~7.28
・対照的に、男性ではビタミンレベルと認知症との有意な関連は認められなかった。
・認知症の定義に、HDS-R(スコア20以下)を用いた場合でも、同様であった。

 著者らは「認知症発症を予防するうえで、女性ではビタミンB1摂取が有効である可能性が示唆された。ビタミンレベルの低下が認知障害の前後いずれで起こるのか、高ビタミンレベルを維持すれば認知機能の悪化や認知症発症を予防できるかを明らかにするためには、今後の縦断的研究が必要とされる」としている。

(鷹野 敦夫)