初回エピソードの統合失調症に対する治療アルゴリズムは、十分ではない。さらに、すべてのアルゴリズムは、急性期治療の適応であって、維持療法には当てはまらない。慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、初回エピソード統合失調症のための急性期および維持期の治療アルゴリズムの作成を試みた。Human Psychopharmacology誌オンライン版2021年7月9日号の報告。
日本臨床精神神経薬理学会のアルゴリズム委員会は、初回エピソード統合失調症の急性期、興奮状態、維持期における薬理学的治療アルゴリズムを作成した。
主な結果は以下のとおり。
・薬物治療を行っていない初回エピソード統合失調症患者(非高齢者または興奮状態)における急性期治療アルゴリズムでは、以下の治療が推奨される。
●第1選択薬:アリピプラゾール
●第2、3選択薬:リスペリドン、パリペリドン、オランザピン
●第4選択薬:クロザピン
・長時間作用型注射剤抗精神病薬は、服薬アドヒアランス不良の場合または患者の希望に基づいて使用可能である。
・興奮状態治療アルゴリズムでは、以下の治療が推奨されるが、興奮状態寛解後には、使用薬剤を減量、中止する必要がある。
●第1選択薬:ロラゼパム
●第2、3選択薬:クエチアピン、レボメプロマジン
・維持期治療アルゴリズムでは、陽性症状寛解後、抗精神病薬を最小有効用量まで漸減することを推奨している。
著者らは「本アルゴリズムが広く普及し、抗精神病薬治療を行っている患者の負担が最小限になることが望まれる」としている。
(鷹野 敦夫)