塩野義製薬は8月24日、同社が開発している新型コロナウイルスワクチン(S-268019)について、アジュバントを変更した新製剤による国内第I/II相臨床試験における全被験者60例への初回投与が8月19日までに完了したことを発表した。初回投与3日後までに生じた副反応は、いずれも軽度~中等度であり、安全性への懸念は確認されていないという。
塩野義製薬のコロナワクチンS-268019はバキュロウイルスを用いた発現技術
塩野義製薬のコロナワクチン「S-268019」は、昆虫細胞とバキュロウイルスを組み合わせたタンパク発現技術であるBEVS (Baculovirus Expression Vector System)を活用した遺伝子組換えタンパクワクチンで、2020年12月より第I/II相臨床試験を開始。その後、検討結果や集積された知見を踏まえ、アジュバントを変更した新製剤で2021年7 月末より日本人成人を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験を新たに実施している。本試験では、20~64歳の日本人の男女60例を対象とし、同ワクチンを3週間間隔で2回接種した際の副反応などの安全性、忍容性および免疫原性の結果から、抗原タンパク量の低減化を含め至適な用量を検討すると共に、それぞれの指標について接種後1年間の追跡評価を実施する予定。
塩野義製薬では、これらの試験で用量を決定後、約3,000例の日本人対象の次相試験に速やかに移行して安全性や有効性をさらに検討し、最終段階の試験を年内にも開始したい考え。
(ケアネット 鄭 優子)