コロナ感染者の献血、症状消失から4週間経過で可能に

提供元:ケアネット

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公開日:2021/08/30

 

 新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、コロナ禍が収束する見通しが依然立たない中、医療現場に不可欠な血液の確保が難しくなっている。その理由の一端は、言うまでもなく献血者の減少である。献血は「不要不急の外出ではない」と声高に訴えても、現況においてはなかなか人々に響かないのが実情だろう。厚生労働省は、7月27日の薬事・食品衛生審議会(血液事業部会安全技術調査会)で、新型コロナウイルス感染症と診断された人であっても、症状消失から4週間経過すれば、献血を可能とする方針を固めた。新たなルールは9月8日より適用される。

コロナ感染者の献血を症状回復後も不可としているのは日本のみ

 日本赤十字社のデータによると、新型コロナウイルス感染により献血を断ったケースは、献血後情報で判明したもの(462件)および献血受付時に判明したもの(680件)を合わせると、2021年5月末現在で1,142人に上る。このうち約3分の1は成分献血の複数回献血者であり、年間換算すると新型コロナの流行により数千回分の献血協力が失われていることになるという。

 献血血液による新型コロナウイルス感染については、輸血用血液からの感染報告はこれまでにない。また、諸外国においては、新型コロナウイルス感染後に献血可能になるまでの日数に差がある(症状消失後14~180日)ものの、症状回復後も献血不可としているのは日本のみである。こうした状況を鑑み、新型コロナ既感染者については、症状消失後(無症候の場合は陽性となった検査の検体採取日から)4週間以上経過し、治療や通院を要する後遺症がなく、問診等により全身状態が良好であることを確認できれば、献血受け入れ可能とすることとした。

 新型コロナに関連したその他の献血受け入れ基準としては、mRNAワクチンを含むRNAワクチン接種者(1回目および2回目も同様)は、48時間経過後からの献血が可能となっている。なお、現時点ではアストラゼネカ社のワクチン接種後の採血制限期間については検討中となっており、接種者の献血を受け入れていないので注意が必要だ。

(ケアネット 鄭 優子)