片頭痛の約90%を占める反復性片頭痛に対する予防療法は、現在の利用可能な治療では十分でない。片頭痛の病因に関連するカルシトニン遺伝子関連ペプチド経路を標的とするモノクローナル抗体であるフレマネズマブは、大規模な国際第III相臨床試験において、慢性および反復性片頭痛に対して効果および忍容性が確認されている。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本人および韓国人の反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性および安全性について、評価を行った。Headache誌2021年7月号の報告。
反復性片頭痛患者を対象にフレマネズマブのランダム化プラセボ対照試験を実施した。対象患者は、フレマネズマブ月1回投与群(初回、4週目、8週目に225mg)、フレマネズマブ四半期ごと投与群(初回675mg、4週目プラセボ、8週目プラセボ)、プラセボ群にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、初回投与後12週間での1ヵ月当たりの頭痛日数のベースラインからの平均変化量とした。
主な結果は以下のとおり。
・ランダム化された患者357例のうち、安全性の分析には356例、全体の分析には354例を含めた。
・各群における12週間での1ヵ月当たりの頭痛日数の最小二乗平均変化は以下のとおりであり、フレマネズマブ群は、プラセボ群と比較し、頭痛日数の有意な減少が確認された(各々対プラセボ、p<0.0001)。
●フレマネズマブ月1回投与群(121例):-4.0±0.4日
●フレマネズマブ四半期ごと投与群(117例):-4.0±0.4日
●プラセボ群(116例):-1.0±0.4日
・フレマネズマブ群における12週間での1ヵ月当たりの平均頭痛日数が50%以上減少した患者(治療反応患者)の割合は、プラセボ群よりも高かった。また、その他の副次的評価項目でも、同様であった(各々対プラセボ、p<0.001)。
【治療反応患者の割合】
●フレマネズマブ月1回投与群:41.3%
●フレマネズマブ四半期ごと投与群:45.3%
●プラセボ群:11.2%
・フレマネズマブ治療による注射部位の反応は、より頻繁に認められた。
●フレマネズマブ月1回投与群:25.6%
●フレマネズマブ四半期ごと投与群:29.7%
●プラセボ群:21.4%
著者らは「フレマネズマブは、日本人と韓国人の反復性片頭痛患者の予防的治療において、これまで報告された結果と同様の有効性が認められ、安全性に対する新たな懸念は認められなかった」としている。
(ケアネット)