化学放射線療法(CRT)後の切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)へのデュルバルマブ地固め療法のリアルワールド研究が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress2021)で発表された。中間解析の結果、リアルワールドでも、この患者集団におけるデュルバルマブの有用性が示された。
このレジメンを評価する第III相PACIFIC試験は、当初から良好な成績を示しており、5年解析でも全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)とも有意に改善している。しかし、患者背景も複雑なリアルワールドで、治験と同様の成績が証明できるのか、その臨床疑問に対する答えはなかった。
PACIFIC-Rは、上記デュルバルマブPACIFICレジメンの実臨床での有効性を、後ろ向きに評価する国際観察プログラムである。評価は、定期的に患者の診療記録を抽出して、行われた。
結果
・分析対象1,155例で評価された。
・CRT後からデュルバルマブ開始までの期間(中央値)は56日であった。
・デュルバルマブの投与期間は355日であった。12ヵ月以上投与した症例は20.1%、14ヵ月以上投与した症例は4.4%であった。
・追跡期間(中央値)23.0ヵ月における、リアルワールドのPFS中央値は、21.7ヵ月であった。PACIFIC試験のPFSは16.9ヵ月であり、リアルワールドで、より良好であった。
・有害事象による治療中止は16.7%、疾患進行による中止は26.9%であった。
これらの結果から、CRT後の切除不能Stage IIINSCLCにおけるPACIFICレジメンの有効性は、リアルワールドでも裏付けられられた、といえるだろう。
(ケアネット 細田 雅之)