治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療がQOLや生産性に及ぼす影響

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/14

 

 片頭痛は、うつ病のみならず、QOLや仕事の生産性へ影響を及ぼす疾患である。ヒト化モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした薬剤であり、片頭痛の予防的治療に対する有効性が認められている。米国・Boston Headache Institute & MedVadis Research CorporationのEgilius L. H. Spierings氏らは、第IIIb相FOCUS試験のオープンラベル延長試験において患者が報告したアウトカムを、経時的に評価した。Headache誌オンライン版2021年8月10日号の報告。

 12週間の二重盲検試験であるFOCUS試験を終了した反復性片頭痛および慢性片頭痛患者を対象に、12週間のオープンラベル延長試験へ移行し、フレマネズマブ225mg月1回投与を行った。患者の自己評価には、片頭痛用QOL調査票(MSQoL)による日常役割機能の制限(RFR)、日常役割機能の予防(RFP)、感情的機能(EF)やEuroQol-5-Dimension-5-Level(EQ-5D-5L)、患者による変化に関する包括印象度(PGIC)、Work Productivity and Activity Impairment(WPAI)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・FOCUS試験の二重盲検期間に参加した838例のうち、オープンラベル延長試験に807例が移行し、6ヵ月時点で772例が登録されていた。
・6ヵ月時点でのフレマネズマブ四半期ごと投与群(四半期群)、フレマネズマブ月1回投与群(月1群)、プラセボ群における各評価項目に対する改善は以下のとおりであった。
●MSQoL-RFRのベースラインからの平均変化
 四半期群:24.6±21.9、月1群:22.9±21.3、プラセボ群:20.8±26.5
●MSQoL-RFPのベースラインからの平均変化
 四半期群:19.6±20.0、月1群:18.3±19.7、プラセボ群:16.0±19.9
●MSQoL-EFのベースラインからの平均変化
 四半期群:22.5±24.2、月1群:19.1±23.6、プラセボ群:17.2±24.7
●EQ-5D-5Lのベースラインからの平均変化
 四半期群:8.0±19.6、月1群:7.3±21.1、プラセボ群:6.6±21.0
●WPAIの労働時間損失率のベースラインからの平均変化
 四半期群:-4.9±28.3、月1群:-6.9±23.3、プラセボ群:-4.0±22.5
●WPAIの労働効率低下率のベースラインからの平均変化
 四半期群:-18.5±26.1、月1群:-17.1±27.8、プラセボ群:-13.4±28.3
●WPAIの全般労働障害率のベースラインからの平均変化
 四半期群:-20.0±28.3、月1群:-19.1±30.6、プラセボ群:-14.5±30.5
●WPAIの活動性障害率のベースラインからの平均変化
 四半期群:-19.5±28.0、月1群:-18.0±29.3、プラセボ群:-15.4±27.5
●PHQ-9のベースラインからの平均変化
 四半期群:-2.4±5.3、月1群:-1.6±5.5、プラセボ群:-2.0±4.9
●PGICによる治療反応率
 四半期群:77.1%(271例中209例)、月1群:75.4%(272例中205例)、プラセボ群:68.8%(263例中181例)

 著者らは「反復性および慢性片頭痛でこれまで複数のクラスの片頭痛予防薬で効果不十分であった患者に対し、6ヵ月間のフレマネズマブ治療を実施することにより、MSQoL、うつ病、労働生産性の改善が期待できる」としている。

(鷹野 敦夫)