うつ病は、健康に重大な影響を及ぼす疾患である。うつ病患者の健康アウトカムを改善するために、薬剤師が関与した診療が役立つ可能性がある。タイ・シラパコーン大学のWaranee Bunchuailua氏らは、うつ病患者に対する薬剤師介入の影響を評価するため、ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2021年8月29日号の報告。
2019年12月までに報告された研究を国際データベース4件、国内データベース3件よりシステマティックに検索した。事前に定義した包括基準に基づき研究を選択し、バイアスリスク基準を用いて品質評価を行った。プールした推定値を分析し、相対リスク(RR)および標準平均差(SMD)を算出した。メタ解析において、研究間の不均一性が認められた場合には、変量効果モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・適格基準を満たした研究12件より抽出された、うつ病患者2,133例を分析に含めた。
・薬剤師介入には、薬物療法マネジメント、アドヒアランスカウンセリング、うつ病や抗うつ薬に関する教育的アドバイスが含まれていた。
・メタ解析では、薬剤師介入は、良好なアドヒアランスを有する患者数(RR:1.39、95%CI:1.11~1.75)および服薬アドヒアランススコアの改善(SMD:0.32、95%CI:0.07~0.56)において、有意な効果が認められた。
・臨床評価尺度(SMD:-0.03、95%CI:-0.16~0.10)およびQOL(SMD:0.10、95%CI:-0.04~0.25)に関しては、有意な影響は認められなかった。
著者らは「うつ病患者に対する薬剤師介入は、服薬アドヒアランスに対しプラスの影響を及ぼすことが示唆された」としている。
(ケアネット)