若年性認知症は、65歳未満で発症した認知症と定義されており、頻度はまれであるものの、その社会的影響は大きい。千葉大学の平野 成樹氏らは、千葉県の認知症センター11施設における若年性認知症患者の診断や臨床的および社会的な特徴について調査を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年8月26日号の報告。
レトロスペクティブに1年間調査を実施した。臨床診断、発症年齢、調査年齢、神経心理学的検査、家族歴、就業、生活状況に関するデータを収集した。
主な結果は以下のとおり。
・若年性認知症患者208例が特定された。その内訳は、以下のとおりであった。
●アルツハイマー病:123例(59.4%)
●血管性認知症:24例(11.6%)
●前頭側頭葉変性症:21例(10.1%)
●レビー小体型認知症/パーキンソン病認知症:17例(8.2%)
●アルコール関連認知症:10例(4.8%)
・ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア24未満は、50~75%の患者で観察されており、これは罹病期間との相関は認められなかった。
・若年性認知症の家族歴を有する患者は、24例(16.4%)であった。
・若年性認知症患者は、早期退職のリスクが高かった。また、家族と同居していた患者は133例、子供と一緒に暮らしていた患者は64例(30.8%)であった。
著者らは「認知症センターでは、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症、レビー小体型認知症の割合が比較的高かった。若年性認知症患者とその家族に対する、雇用、経済、社会的な支援が早急に求められる」としている。
(鷹野 敦夫)