ノルウェー・オスロ大学のOyvind Halsoy氏らは、COVID-19パンデミック中の不眠症状に関連する因子について、調査を行った。Frontiers in Psychiatry誌2021年11月5日号の報告。
ノルウェーの成人4,921人を対象に、2020年3月31日~4月7日および2020年6月22日~7月13日の2つの期間において調査依頼を実施した。1回目の調査で関連するリスク因子や心理的相関を、2回目の調査で不眠症状を測定し、時間経過に伴う関連を含めた調査を行った。不眠症状の測定には、Bergen Insomnia Scale(BIS)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・COVID-19によるロックダウン中の不眠症状は、2008年に実施したパンデミック前の調査結果と比較し、平均レベルが高いことが明らかとなった(p<0.0001、Cohen's d=0.29)。
・ソーシャルディスタンスを守った人は、そうでない人と比較し、不眠症状の平均レベルが高かった。
・女性、教育水準の低い人、職を失った人、不特定の精神疾患診断歴を有する人は、最も多くの症状を報告していた。
・回帰モデル(R2=0.44)では、身体運動が不眠症状の減少と関連が示唆された。
・不眠症状レベルの高さと関連していた因子は、健康不安症状、抑うつ症状、役立たない対処法、仕事や経済への懸念、高齢者であった。
著者らは「本調査結果は、とくに脆弱なグループを特定しただけでなく、不眠症状に苦しんでいる患者を支援することへの重要性を改めて示している」としている。
(鷹野 敦夫)