米国の大手ドラッグストアであるCVSヘルスに所属するYing Tabak氏らは、新型コロナ感染に対するワクチン有効性を推定するにあたり、時間経過による変化がみられるのかなどを評価するため、診断陰性例コントロール試験を実施。その結果、ワクチン未接種者はワクチン接種者よりも感染リスクが最大で4倍も高いことが明らかになった。JAMA Network Open誌2021年12月22日号のリサーチレターに掲載された。
本研究は全米の新型コロナ検査のデータベースを使用し、2021年5月1日~8月7日の期間にドラッグストアのPCR検査で症候性の新型コロナ感染症が確認されたの特有の患者発生率を評価した。新型コロナ関連の症状(CDCの定義に準拠)、ワクチン接種状況、時期、投与回数について、鼻咽頭スワブを収集する前にスクリーニング質問票に自己報告してもらった。分析には、BNT162b2(ファイザー製)、mRNA-1273(モデルナ製)、およびJNJ-78436735(J&J製)のワクチンを使用した。また、米国での昨年7~8月のデルタ変異株の流行を考慮して、最後のワクチン接種からの経時的な症候性新型コロナ感染に対し、ワクチン接種の有効性を検査実施者の年齢、地域、暦月で調整して推定した。
主な結果は以下のとおり。
・全米4,094ヵ所で検査を受けた18歳以上の症候性患者は123万7,097例だった。そのうち女性は73万2,850例(59.2%)、男性は50万3,303例(40.7%)、性別不明は944例(0.1%)だった。
・年齢中央値(IQR)は37歳(28~51)だった。
・民族の割合はアジア人が8万8,178例(7.1%)、黒人/アフリカ系アメリカ人が16万8,639(13.6%)、ヒスパニック系が22万1,521例(17.9%)、白人が 66万1,459例(53.5%)だった。また、アラスカ先住民、アメリカインディアン、太平洋諸島民、詳細不明として識別された人は9万7,300例(7.9%)だった。
・計64万5,604例(52.2%)はワクチン未接種たった。
・ワクチン接種者59万1,493例(47.8%)のうち、33万5,341例(27.1%)がファイザー製を、20万7,250例(16.8%)がモデルナ製を、4万8,902例(4.0%)がJ&J製を接種していた。
・ワクチンの接種状況は、新型コロナの感染低下と関連していた。
・mRNAワクチン(ファイザー製/モデルナ製)を接種した人は、観察時間のすべての時点で発生率が最も低く、ワクチン未接種者で最も高かった。
・ワクチン未接種者の感染リスクについて、各ワクチンを接種した人と比較したところ、モデルナ製よりも412%、ファイザー製よりも287%、J&J製よりも159%も高かった。
・研究期間中に観察された発生率は、ワクチン未接種者では24.8%だった。各接種者での割合はJ&J製が15.6%、ファイザー製が8.6%、モデルナ製が6.0%だった。
・ワクチン未接種者の新型コロナ感染リスクの大きさは、米国でのデルタ変異の有病率の増加と並行して7月と8月にさらに増加したが、ワクチン接種完了者に限定した場合の傾向は、ほぼ横ばいだった。
・多変量解析の結果、mRNAワクチンを2回完了した人の調整済みの推定されるワクチン有効性は、2週間後にピークに達し、モデルナ製では96.3%(95%信頼区間[CI]:95.6~96.9)、ファイザー製は92.4%(同:91.7~93.1)だった。
・また、有効性は徐々に低下し、接種2~3ヵ月時点において、モデルナ製は86.8%(同:86.2~87.4)、ファイザー製は78.6%(同:78.0~79.2)であり、6ヵ月時点では、モデルナ製が74.2%(同:71.6~76.6)、ファイザー製が66%(同:64.2~68.0)と低下した。
・一方、J&J製は接種2週間時点でも有効性は50%超だった。
研究者らは、「本結果は全米における最大の新型コロナ検査のデータセットであり、また、ほかの研究結果1)などと一致している」としている。
(ケアネット 土井 舞子)