睡眠障害や概日リズムを改善するためには、光療法が効果的であるといわれている。台湾・国立陽明交通大学のChuen-Ru Liu氏らは、睡眠障害や概日リズムの改善には、一般的な照明よりも朝の明るい周囲光への曝露がより効果的であるとの仮説を立て、認知症高齢者のための新たな照射介入モデルの検討を試みた。Sleep Medicine誌オンライン版2021年10月21日号の報告。
本検討では、単盲検縦断グループ実験デザインを用いた。認知症患者は、コミュニティおよびナーシングホームより募集した。実験グループには、2,500ルクスの周囲光を、対照グループには114~307ルクスを用いた。睡眠障害および概日リズムの測定には、加速度計(XA-5)を用いた。効果反応までの時間を測定するため、縦断実験計画法を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・ベンゾジアゼピンの使用と日中の総活動量の共変量を分析するため、一般化推定方程式を用いた。
・実験グループでは、5週目と9週目において以下の有意な改善が認められた。
●睡眠効率の平均増加(5週目:41.9%[p<0.001]、9週目:31.7%[p=0.002])
●睡眠時間の増加(5週目:141分[p=0.001]、9週目:135分[p=0.008])
●覚醒時間の減少(5週目:116分[p=0.001]、9週目:108分[p=0.002])
●入眠開始の改善/睡眠終了の遅延(入眠開始の改善:60~84分、睡眠終了の遅延:57~79分)
・4週間の明るい周囲光による介入が、最も効果的であった。
著者らは「朝の明るい周囲光は、睡眠障害の改善に有用であり、概日リズムを安定させることにより、より良い結果をもたらすと考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)