東北大学の陸 兪凱氏らは、高齢者における睡眠時間の変化と認知症発症リスクとの関連について調査を行った。Sleep誌オンライン版2018年7月25日号の報告。
2006年に宮城県大崎市在住の65歳以上で障害のない日本人高齢者7,422例を対象に、コホート研究を実施した。対象者の睡眠時間は、自己報告アンケートを用いて、1994年と2006年に評価を行った。1994年と2006年のアンケートより得られた睡眠時間から、対象者を睡眠時間の変化に応じて5群に分類した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険データベースより抽出し、対象者を5.7年間(2007年4月~2012年11月)フォローアップした。認知症発症の多変量調整ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。
主な結果は以下のとおり。
・3万6,338人年のフォローアップ期間中に、688例が認知症を発症した。
・睡眠時間の変化がなかった対象者と比較し、睡眠時間が1時間増加した対象者の多変量HRは1.31(95%CI:1.07~1.60)、2時間以上増加した対象者の多変量HRは2.01(1.51~2.69)であった。
著者らは「高齢者における睡眠時間の増加は、認知症発症リスクの上昇と有意な関連が認められた。睡眠と認知症との関連性を確認するためには、有効性が確認された測定法を用いた今後の研究が必要である」としている。
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(鷹野 敦夫)