国内データで見るオミクロン株へのワクチン2回接種の効果

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/02

 

 新型コロナワクチンの3回目のブースター接種が昨年12月から始まっているものの、初回接種(当初規定された2回目接種まで)時のような進捗が見られない。しかし一方で、オミクロン株の急拡大に歯止めが掛からないのが現状だ。多くが初回接種にとどまっている中、まん延するオミクロン株にはどれほどの効果があるのだろうか。長崎大学などの研究チームが、国内4都県5ヵ所の医療機関において、今年1月1日~21日までに新型コロナウイルス感染症が疑われる症状で検査を受けた患者400例超を解析したところ、ファイザー製もしくはモデルナ製ワクチンの2回接種の発症予防効果は51.7%で、昨年の第5波に流行したデルタ型と比べ大幅に低下していたことがわかった。本結果は、研究チームが進めているVaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2(VERSUS)Studyの暫定データで、 1月26日付で発表された。

 本報告は、新型コロナウイルスのオミクロン株が全国で広がり始めた2022年1月1日~21日までに、全国4都県(東京、神奈川、埼玉、愛知)計5ヵ所の医療機関において、COVID-19が疑われる症状で受診した16歳以上を対象に、患者基本情報、症状、新型コロナワクチン接種歴(接種の有無、接種回数、接種日、接種したワクチンの種類)、新型コロナウイルス検査結果のデータを収集し、このうち417例について解析した暫定値。
それによると、16~64歳において、ファイザー製あるいはモデルナ製いずれかのワクチンの2回接種完了(2回接種後14日以上経過)による、未接種者と比較した発症予防における有効性は51.7%(95%信頼区間[CI]:2.0~76.2%)と推定された。デルタ株が流行した2021年7月1日~9月30日における同値は88.7%(95%CI:78.8~93.9%)であり、新型コロナワクチンの有効性は低下していると考えられるという。

 解析対象者の年齢中央値は32歳(四分位範囲:24~43歳)で、男性は227例(54.4%)、416例(99.8%)は自宅生活者であり、43例(10.3%)に基礎疾患があった。また、67例(16.1%)にCOVID-19患者との接触歴があった。ワクチン接種歴は、未接種53例(12.7%)、1回のみ接種完了5例(1.2%)、2回接種完了346例(83.0%)、接種歴不明1例(0.2%)だった。

(ケアネット 鄭 優子)