統合失調症の再発に影響を及ぼす要因

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/22

 

 統合失調症は再発率が高い疾患である。再発は、患者だけでなくその家族にとっても大きな影響を及ぼすが、生物心理社会学的および精神医学的要因を見直すことで、改善する可能性がある。統合失調症の再発に影響を及ぼす潜在的なリスク因子を明らかにすることは、医師、患者およびその家族の意識を向上させるために役立つと考えられる。医師は、患者を診察し、マネジメントや教育を行い、再発を抑制することが求められる。インドネシア・エアランガ大学のMargarita M. Maramis氏らは、統合失調症患者の再発発生に影響を及ぼす生物心理社会学的および精神医学的要因について、分析を行った。International Journal of Social Psychiatry誌オンライン版2021年12月28日号の報告。

 インドネシア・東ジャワの3施設Soetomo Academic Hospital Surabaya(33.2%)、Menur Hospital Surabaya(32.7%)、Radjiman Wediodiningrat Mental Hospital Lawang(34.1%)より統合失調症患者226例を対象とし、横断的観察分析研究を実施した。生物心理社会学的および精神医学的要因を含む33因子のデータを収集し、二変量および多変量ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・1年間の再発率は、59.73%であった。
・統合失調症の再発に有意な影響を及ぼした因子は以下の12因子であった。
 ●妊娠中の母親における身体的疾患歴(p<0.001、B=27.31、95%信頼区間[CI]:3.96~188.52)
 ●トリガーの存在(p<0.000、B=6.25、95%CI:2.61~14.96)
 ●ネガティブな信念(p<0.000、B=4.94、95%CI:2.10~11.61)
 ●遺伝的要因(p<0.001、B=4.84、95%CI:1.93~12.10)
 ●洞察(p<0.003、B=4.27、95%CI:1.62~11.27)
 ●1年間のGAFスケール(p<0.015、B=3.79、95%CI:1.30~11.09)
 ●治療反応(p<0.006、B=3.68、95%CI:1.45~9.36)
 ●家族の理解(p<0.011、B=3.23、95%CI:1.31~7.93)
 ●頭部外傷歴(p<0.029、B=3.13、95%CI:1.13~8.69)
 ●薬剤の副作用(p<0.028、B=2.92、95%CI:1.12~7.61)
 ●薬物使用歴(p<0.031、B=2.86、95%CI:1.10~7.45)
 ●職業(p<0.040、B=2.40、95%CI:1.04~5.52)

 著者らは「統合失調症の再発リスクを予測する生物心理社会学的および精神医学的要因の12因子が特定された。これらの因子は、介護や再発予防を目指すうえで、患者およびその家族の心理教育を行う際、取り入れるべきであろう」としている。

(鷹野 敦夫)