医療連携の一環として活用される紹介状。正式名称は「診療情報提供書」である。かかりつけ医が高度医療の必要があると判断して患者を紹介したり、その逆で患者の病状が安定したからとかかりつけ医などに戻ってもらう際に使用したりする。だが、この紹介状が名ばかりで実際の情報提供になっていないことがあるらしい。そこで今回、ケアネットでは会員医師1,000人を対象に『紹介状で困ったこと・良かったこと』に関するアンケートを実施した。
紹介状に対する不満、開業医「紹介したのに返信がない」が1番
開業医、勤務医各500人にアンケートしたところ、大多数が紹介状の内容に不満を感じており、1番の理由は開業医では「紹介したのに返信がない」、勤務医では「紹介状が手書きで読めない」だった。実際に開業医に対して紹介状の記載ツールを伺ったところ、手書きと回答した方は31%で、年代が上がるほどその割合は増えていた。
次に不満を感じる理由として、開業医は「患者の転帰情報が送られてこない」、勤務医は「患者の丸投げと感じる」を挙げているが、それらの不満コメントをみると開業医だからといって勤務医だけに不満があるわけではなく、開業医同士、勤務医同士でも意見はあるようだ。
<開業医の不満>
・外科術後患者で術後診断がない(60代、消化器科)
・紹介状と、受診したときの処方などの内容が違っていた(60代、外科/乳腺外科)
・紹介先から初診診察医が変更になったので新たに紹介状を書くように言われた(60代、整形外科)
・92歳で心不全持ちなど、どう見ても外来手術適応外の患者を外来手術目的で紹介してくる開業医の先生が困る(50代、眼科)
<勤務医の不満>
・かなりの重症患者を連絡なしで患者家族の運転する車で飛び込み受診された(40代、腎臓内科)
・患者の希望と記載してあるが、実際は丸投げであったこと(30代、循環器内科/心臓血管外科)
・広告の裏紙を使った紹介状で、しかも殴り書きで来たことがある(40代、血液内科)
・手書きで判読が困難な紹介状や略語は困ります。(紹介状を)書く際には略語は使いません(60代、循環器内科/心臓血管外科)
このほか、それぞれの医師が「良かったと感じた紹介状」や「書く際に心掛けていること」についてもアンケート結果を公開している。
アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中
『
受け取った紹介状、開業医/勤務医がモヤっとする第1位は?』
<アンケート概要>
●タイトル:紹介状で困ったこと・マナー違反と思ったことを教えてください
●内容:紹介状のやり取りで開業医/勤務医それぞれが困っていること、良かったと感じたことを調査
●実施期間:2022年2月24日(木)
●調査方法:インターネット
●対象:30代以上の会員医師 1,000人(開業医:500人、勤務医:500人)
(ケアネット 土井 舞子)