心血管系の健康に良いとされるアボカドの一日摂取量は?

提供元:ケアネット

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公開日:2022/04/19

 

 アボカドは、食物繊維、カリウム、マグネシウム、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸など、健康に良いとされる栄養素を豊富に含むが、アボカド摂取と長期的な心血管疾患(CVD)リスクとの関連を示す情報は不足している。今回、米国・ハーバード大学のLorena S.Pacheco 氏らは、2つの大規模前向きコホートを用いて成人男女約11万人を30年間追跡し、アボカド摂取が心血管系の健康に及ぼす影響を調査し、その結果が2022年4月5日、Journal of the American Heart Association誌に掲載された。週2日以上のアボカド摂取、さらには乳製品や加工肉などの動物性食品の一部をアボカドに置き換えると、心臓にとって健康的な食事に変わるかもしれない。

アボカドを一日平均約40g摂取した群はCVD発症リスクが16%低かった

 本研究は、前向きコホート研究HPFS(Health Professionals Follow-up Study)の男性参加者とNHS(Nurses'Health Study)の女性参加者を対象として、ベースライン時にがん、冠動脈性心疾患(CHD)、脳卒中がなかった者(女性:6万8,786人、男性:4万1,701人)が登録された。食事は、ベースライン時およびその後4年ごとに食物頻度調査票(FFQs)で評価され、COX比例ハザードモデルを用いて解析した。主要評価項目は、全CVD(致死性・非致死性の心筋梗塞と脳卒中の複合)の発症。

 アボカド摂取が心血管系の健康に及ぼす影響を調査した主な結果は以下のとおり。

・30年間(中央値:男性13.3年、女性14.2年)の追跡で、男性6,661例、女性7,613例、合計1万4,274例のCVD発症が記録された(CHD:9,185例、脳卒中:5,290例)。
・ライフスタイルおよびその他の食事因子で調整後、アボカドをもっとも摂取した群(週2日以上)は、摂取しなかった群と比較してCVD発症リスクが16%低かった(統合HR:0.84、95%CI:0.75-0.95)。アボカドをもっとも摂取した群の一日平均摂取量は約40g(アボカド1個の4分の1程度)だった。
・アボカドを週2日以上摂取した群において、CHDの発症リスクは21%低かった(統合HR:0.79、95%CI:0.68-0.91)一方で、脳卒中との有意な関連は認められなかった。
・1日に摂取するマーガリン、バター、卵、ヨーグルト、チーズ、加工肉の半分を同量のアボカドに置き換えると、CVDのリスクが16~22%低下した。

 研究者らは、「アボカド摂取量の多さがCVD発症リスクの低さと関連していた。また、特定の脂肪含有食品をアボカドに置き換えることでも、CVDのリスクを低下させることができるかもしれない」と結論付けた。

(ケアネット 堀間 莉穂)