新型コロナ後遺症、多岐にわたる症状と改善時期/東京感染症対策センター

提供元:ケアネット

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公開日:2022/04/13

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波が懸念される中で新規の陽性患者だけでなく、COVID-19の後遺症の報告も医療機関で上がっている。厚生労働省は、2021年12月に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(暫定版)」を作成し、全国の医療機関に診療の内容を示したところである。

 今回、東京都は、3月24日に開催された東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議で「都立・公社病院の外来を受診した後遺症患者の症例分析」を発表した。これは、都の感染症に関する政策立案、危機管理、調査・分析などの感染症対策を行う東京感染症対策センター(東京iCDC)が取りまとめたもの。

 分析の結果、症状では「倦怠感」「息切れ」「頭痛」などの症状が多く、出現時期も2週間未満での発症が多かった。

 東京都では、HP上で後遺症の症状、体験談、相談窓口などを紹介する「新型コロナウイルス感染症 後遺症リーフレット」を作成・公開し、後遺症診療の啓発につとめている。

調査の概要

・対象:都立・公社病院のコロナ後遺症相談窓口から自院の外来受診につながった症例など、都立・公社病院の外来を受診した後遺症が疑われる患者の症例
・期間:令和3年5月10日~令和4年1月28日に受診した症例
・症例数:230例
 年齢:50代、40代、30代の順
 性別:男(60%)、女(40%)
 重症度:軽症(54%)、不明(28%)、中等症I(8%)の順

COVID-19後遺症の主訴の多くが倦怠感、息切れ、頭痛の3つ

 次に調査結果の概要を示す。

【1.後遺症の症状】
・全症状(複数回答)
倦怠感(93人)、息切れ(44人)、頭痛(38人)の順で多く、その他が128人
・主症状(単一回答)
倦怠感(52人)、息切れ(25人)、頭痛(23人)の順で多く、その他が49人
・後遺症の症状の数(症例データ)
1つ(35%)、2つ(27%)、3つ(27%)の順
・訴える症状の数(相談窓口データ)
2つ(34%)、1つ(30%)、3つ(19%)の順

 症状は上位3つの主訴が多いが、「その他」も多く、多岐にわたる症状が多い。また、全体の65%が2つ以上の症状を訴えていたことが判明した。

【2.後遺症の出現時期と改善状況】
・後遺症の出現時期[発症からの期間](n=213)
2週間未満(116人)、2週間以上1ヵ月未満(46人)、1ヵ月以上3ヵ月未満(40人)の順
・直近受診日における改善状況(n=125)
改善(68人)、症状継続(54人)、他院紹介(3人)の順

 全体の約54%がCOVID-19発症から2週間未満であり、症状が継続していた。また、改善状況では全体の54%が直近受診日において改善していた。

【3.治療・検査】
 後遺症の治療法は確立されていないが、都立・公社病院では、症状に応じた検査・薬の処方など、対症療法を行っている。

(1)倦怠感(n=52)
・検査:血液検査(33人)、胸部X線(17人)、脳・頭部MRI(14人)など
・治療:漢方薬(23人)、抗うつ薬(5人)、解熱鎮痛薬(4人)など
(2)息切れ(n=25)
・検査:胸部X線(20人)、血液検査(14人)、心電図(8人)など
・治療:漢方薬(4人)、解熱鎮痛薬(4人)、咳止め薬(4人)など
(3)頭痛(n=23)
・検査:血液検査(16人)、脳・頭部MRI(9人)、心電図、胸部X線(ともに7人)など
・治療:解熱鎮痛薬(9人)、漢方薬(4人)など

 改善時期では、倦怠感が発症から1~3ヵ月、3~6ヵ月がほぼ同じ割合で多く、息切れは1~3ヵ月、頭痛は3~6ヵ月の回答が多かった。

 東京iCDCは、以上の結果から「時間の経過とともに改善がみられる事例がある一方で、コロナ罹患時よりも重い症状となる事例、症状が長期に遷延し、仕事などを休まざるをえない事例もみられた。コロナ発症時から1~2ヵ月以上症状が継続するなど、後遺症が疑われる場合は、無理な活動は避け、かかりつけの医療機関や相談窓口などへ相談をしてほしい」と結んでいる。

(ケアネット 稲川 進)