親のスマートフォン依存症が子供に及ぼす影響

提供元:ケアネット

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公開日:2022/05/10

 

 青少年のスマートフォン依存症(ASA)による健康への悪影響に関する懸念は、世界的な問題となっている。中国・蘭州大学のJian Gong氏らは、親のスマートフォン依存症(PSA)がASAに及ぼす影響を調査し、これらの関連に親子関係や親の養育がどのような役割を果たすかについて評価を行った。その結果、親の過度なスマートフォン使用は子供がASAになる傾向を高め、PSAとASAの関連には親子関係や親の養育が重要な役割を果たすことが示唆された。Journal of Affective Disorders誌2022年6月15日号の報告。

 10~15歳の学生およびその保護者を対象に、大規模横断調査を実施した。ASAとPSAの評価にはMobile Phone Addiction Index(MPAI)を用いた。親子関係はChild-Parent Relationship Scale-Short Form(CPRS-SF)、親の養育はParental Bonding Instrument(PBI)を用いて評価した。PSAとASAの関連および親子関係の媒介効果、親の養育の調整効果を調査するため、条件付きプロセスモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・合計9,515人の青少年およびその両親が、オンライン調査を完了した。
・PSAは、ASAの有意な予測因子であることが認められた(B=0.488、p<0.001)。
・親子関係には、PSAとASAの関連に対するネガティブな媒介効果が認められた(B=-0.321、p<0.001)。
・親の過保護は、親子関係を介してPSAからASAへの間接的な影響を調整したが(B=-0.016、p<0.001)、親のケアによる調整効果は認められなかった(B=-0.005、p>0.05)。
・過保護は、後期の媒介効果に対しポジティブな調整効果をもたらした。
・親子関係を介したASAに対するPSAの間接的な影響は、過保護のレベルが低い場合と比較し、高い場合のほうが大きかった。
・本研究の限界として、自己記入式質問票を用いた横断研究である点が挙げられる。

(鷹野 敦夫)