既存する片頭痛予防の2~4の薬剤クラスが奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者を対象とした、ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験の第IIIb相試験「FOCUS試験」において、カルシトニン遺伝子関連ペプチドを標的とするヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの安全性および有効性は明らかとなっている。今回、オーストリア・ Konventhospital Barmherzige Bruder LinzのChristian Lampl氏らは、FOCUS試験の事後分析として、前兆または同様の神経症状の有無により、フレマネズマブの有効性やQOLに対する影響に違いがあるかを検討した。その結果、フレマネズマブは、関連する神経機能症状を伴う片頭痛患者や既存の片頭痛治療薬2~4の薬剤クラスで効果不十分であった患者に対し、神経症状を呈する日数を減少させ、片頭痛を効果的に予防し、QOLを改善することが示唆された。European Journal of Neurology誌オンライン版2022年3月18日号の報告。
FOCUS試験では、既存する片頭痛予防の2~4の薬剤クラスが奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者838例を、フレマネズマブを四半期ごとに投与する群、フレマネズマブを月1回投与する群、プラセボ群に1:1:1でランダムに割り付け、12週間の二重盲検治療を実施した。本事後分析は、症状に関する質問への患者の反応に基づき、ベースライン時における関連する神経機能障害の有無別に行われた。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時に神経機能障害を有する片頭痛患者では、フレマネズマブ群はプラセボ群と比較し、1ヵ月当たりの神経症状を呈する平均日数の有意な減少が認められた。
●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-1.7日、プラセボ群:-0.5日(p≦0.01)
●フレマネズマブ月1回投与群:-1.8日、プラセボ群:-0.5日(p≦0.01)
・フレマネズマブ投与群はともに、プラセボ群と比較し、ベースライン時の神経機能障害の有無にかかわらず、12週間にわたる1ヵ月当たりの片頭痛日数の有意な減少(p<0.0001)、過去4週間のHeadache Impact Test 6(HIT-6)およびMigraine-Specific Quality of Life(MSQ)スコアの有意な改善が認められた(p<0.05)。
(鷹野 敦夫)