米国における片頭痛治療開始患者に対するフレマネズマブの有効性

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/06/01

 

 成人の片頭痛予防に承認されている、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を選択的標的としたヒト化モノクローナル抗体(IgG2Δa)フレマネズマブの有効性および忍容性は、ランダム化二重盲検比較プラセボ対照試験で実証されている。リアルワールドでのデータはこれら臨床試験のデータを支持しており、フレマネズマブの臨床的ベネフィットは明らかになっている。オランダ・Teva PharmaceuticalsのMaurice T. Driessen氏らは、実臨床診療に従って治療された成人片頭痛患者の臨床アウトカム改善に対するフレマネズマブの有効性を評価するため、チャートレビューを実施した。その結果、実臨床において、投与レジメンや過去の片頭痛予防治療の失敗数にかかわらず、最大6ヵ月間のフレマネズマブ治療の有効性が確認されたことを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2022年4月11日号の報告。

 米国医師による電子症例報告フォームを用いて、レトロスペクティブ、パネルベースのオンライン医師チャートレビュー研究を実施した。患者の選択基準は、医師による片頭痛の診断、FDA承認後に18歳以上でフレマネズマブ治療を開始、フレマネズマブ治療1回以上、1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)2以上の評価(治療開始前30日間で1、治療開始後1以上)とした。MMD、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、片頭痛評価尺度(MIDAS)、Headache Impact Test 6(HIT-6)スコアのベースラインからの変化を6ヵ月間にわたり評価した。これらのエンドポイントは、全体の母集団とサブグループで、投与レジメンおよび過去の片頭痛予防治療の失敗数で除して評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・臨床医421人が参加し、1,003例の患者データが収集された。
・フレマネズマブ治療開始時の平均年齢は、39.7歳であり、多くは女性であった(75.8%)。
・母集団全体では、ベースライン時の平均MMDは12.7、平均MHDは14.0であった。
・MMDとMHDの平均減少数(割合)は以下のとおりであった。
【MMD】1ヵ月:-4.6(36.2%)、3ヵ月-6.7(52.8%)、6ヵ月:-9.2(72.4%)
【MHD】1ヵ月:-4.7(33.6%)、3ヵ月:-6.8(48.6%)、6ヵ月:-9.8(70.0%)
・MIDASおよびHIT-6スコアの平均値も、ベースラインから1ヵ月および6ヵ月にわたり、減少が認められた。
【MIDAS】1ヵ月:-6.2(21.6%)、6ヵ月:-18.1(63.1%)
【HIT-6】1ヵ月:-8.4(14.0%)、6ヵ月:-16.2(27.0%)
・評価したすべてのサブグループにおいて、6ヵ月間にわたり、これらアウトカムの改善が認められた。

(鷹野 敦夫)