お知らせがあります 2024/07/10 7月10日より「Web講演会」「CARENQ」の送信元メールアドレスを変更いたしました。 ■変更前:seminar@carenet.co.jp、enquete@carenet.co.jp ■変更後:seminar@www.carenet.com、enquete@www.carenet.com メールアドレスまたはドメインによる受信拒否や振り分けなどを設定されている方は、設定の変更をお願いいたします。
抗体薬物複合体SG、複数治療歴のあるHR+転移乳がんでもPFS改善(TROPiCS-02)/ASCO2022 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2022/06/08 内分泌療法、CDK4/6阻害薬、化学療法による複数の治療歴があるHR+/HER2-転移乳がん患者に対して、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab govitecan(SG)が、医師選択治療(TPC)に比べ有意に無増悪生存期間(PFS)を改善したことが、第III相TROPiCS-02試験で示された。米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。 欧米では、SGは2種類以上の前治療歴を有する転移のあるトリプルネガティブ乳がんに対して承認されている。HR+/HER2-進行乳がんに対しては、第I/II相IMMU-132-01試験において、客観的奏効率(ORR)31.5%、PFS中央値5.5ヵ月、全生存期間(OS)中央値12ヵ月、管理可能な安全性プロファイルが確認されている。今回、HR+/HER2-転移乳がんに対する第III相TROPiCS-02試験の結果が報告された。 ・対象:HR+/HER2-の転移または局所進行した切除不能の乳がんで、転移後に内分泌療法またはタキサンまたはCDK4/6阻害薬による治療歴が1ライン以上、化学療法による治療歴が2~4ラインの成人患者 ・試験群:SG(1、8日目に10mg/kg、21日ごと)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで静注 ・対照群:TPC(カペシタビン、エリブリン、ビノレルビン、ゲムシタビンから選択) ・評価項目: [主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会によるPFS [副次評価項目]OS、ORR、奏効持続期間(DOR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、患者報告アウトカム、安全性 主な結果は以下のとおり。 ・データカットオフ時点(2022年1月3日)で、SG群272例、TPC群271例であった。内臓転移例は両群共に95%、転移後の6ヵ月以上の内分泌療法歴は両群共に86%、CDK4/6阻害薬治療歴は12ヵ月以下ではSG群59%、TPC群61%、12ヵ月超ではSG群39%、TPC群38%、化学療法歴の中央値は両群共に3ラインだった。 ・PFS中央値はSG群5.5ヵ月、TPC群4.0ヵ月とSG群で改善し(HR:0.66、95%CI:0.53~0.83、p=0.0003)、6ヵ月PFS率は順に46.1%、30.3%、12ヵ月PFS率は21.3%、7.1%であった。サブグループ解析では、化学療法歴3ライン以上、内臓転移あり、65歳以上を含めて、SG群のPFSベネフィットが示された。 ・OSは、SG群13.9ヵ月、TPC群12.3ヵ月で有意差はなかったが(HR:0.84、95%CI:0.67~1.06、p=0.14)、今回は1回目の中間解析(全3回予定)であり、まだデータがmatureではなく現在フォローアップ中である。 ・ORRはSG群21%、TPC群14%(オッズ比:1.63、p=0.03)、CBRはSG群34%、TPC群22%(オッズ比:1.84、p=0.002)とどちらもSG群で高く、DOR中央値はSG群7.4ヵ月、TPC群5.6ヵ月であった。 ・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は全体でSG群74%、TPC群60%で、最も多かったのは好中球減少症(SG群51%、TPC群38%)と下痢(9%、1%)だった。SGの安全性プロファイルはこれまでの試験と同様であった。間質性肺疾患はSG群ではみられず(TPC群1%)、心機能不全および左室機能不全は両群共にみられなかった。 今回の結果から、Rugo氏は「複数の治療歴があり治療選択肢が限られている乳がん患者において、SGは統計学的に有意で臨床的に意味のあるベネフィットを示し、可能な治療選択肢として考慮されるべき」と述べた。 (ケアネット 金沢 浩子) 原著論文はこちら TROPiCS-02試験(ClinicalTrials.gov) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 新規抗体薬物複合体SG、転移TN乳がんに有効/NEJM ジャーナル四天王(2021/05/07) 新規抗体薬物複合体SG、TN乳がんのPFSとOSを延長(ASCENT)/ESMO2020 医療一般(2020/09/25) 新規抗体薬物複合体、難治性の転移TNBCに有効/NEJM ジャーナル四天王(2019/03/04) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 腎移植後の抗体関連型拒絶反応、抗CD38抗体felzartamabが有望/NEJM(2024/07/18) 産後VTE予防のエノキサパリン、より高リスク例へ限定可能?/JAMA(2024/07/18) オミクロン対応2価コロナワクチン、半年後の予防効果は?/感染症学会・化学療法学会(2024/07/18) 日本における頭痛障害、片頭痛の有病率調査の正確性は(2024/07/18) 運動が化学療法による末梢神経障害の回避に有効か(2024/07/18) マルチビタミンに寿命延長効果はある?(2024/07/18) 夜勤とギャンブル利用の関係(2024/07/18) [ あわせて読みたい ] 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17) 診療所の売れ行きに直結する「概要書」の大切さ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第39回(2022/05/09) 医療マンガ大賞2021「たった一時間されど一時間」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)(2022/04/18) 「急ぎ」のお宝承継をゲットできる医師は…?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第38回(2022/04/11) Dr.田中和豊の血液検査指南 電解質編(2022/04/10) 医療マンガ大賞2021「命のバトン」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)(2022/03/17) 医業承継における「お宝物件」の探し方【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第37回(2022/03/14) 医療マンガ大賞2021「膵臓がんの母」受賞者描き下ろし作品(フクラアカリガエル氏)(2022/03/02) 転職では「選ぶ側」だったのに…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第36回(2022/02/28)