インド・Post Graduate Institute of Medical Education & ResearchのSandeep Grover氏らは、双極性障害患者の生涯における自殺企図について、関連するリスク因子を評価するため検討を行った。その結果、双極性障害患者の約3分の1は生涯において自殺企図を経験しており、それらの患者は臨床経過がより不良であることを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年6月22日号の報告。
10年以上の疾患歴を有し、臨床的寛解状態にある双極性障害患者773例を対象に、生涯の自殺企図を評価した。自殺企図の有無にかかわらず、さまざまな人口統計学的および臨床的なリスク因子について比較を行った。
主な結果は以下のとおり。
・対象の双極性障害患者のうち、自殺企図歴を有する患者は242例(31.3%)であった。
・自殺企図歴を有する患者は、そうでない患者と比較し、以下の特徴が認められた。
●教育歴が短い
●多くの場合、女性である
●エピソード期間が長い
●総エピソード数が有意に多い(生涯、発症後5年間、1年ごと)
●うつ病の総エピソード数が有意に多い(生涯、発症後5年間、1年ごと)
●うつ病エピソード期間が長い
●より重篤なうつ病エピソードがある
●初回エピソードがうつ病である場合が多い
●躁/軽躁/混合エピソード期間が長い
●うつ症状または躁症状の残存が多い
●生涯においてラピッドサイクラーの場合が多い
●依存症として大麻を使用している
●自身の疾患について洞察力が乏しい
●障害レベルの高さ(とくにIndian disability evaluation assessment scaleの4領域中3領域)
(鷹野 敦夫)