2022年7月11日(現地時間)、Moderna(米国)は、オミクロン株亜系統BA.1を含む追加接種用2価ワクチン候補mRNA-1273.214について新しい臨床データを発表し、mRNA-1273(商品名:スパイクバックス筋注)による追加接種と比較して、オミクロン亜系統BA.4およびBA.5に対する有意な中和抗体反応が示されたことを発表した。
Modernaは、各市場におけるオミクロン亜系統の状況に応じて、今秋に向け2種類の追加接種用2価ワクチン候補の開発を進めている。今回公表されたのは、そのうちのmRNA-1273.214に関するデータである。主な結果は以下のとおり。
・接種時に感染のない被験者において、2価ワクチン候補mRNA-1273.214 は、既存のmRNA-1273による追加接種と比較して、BA.4/BA.5に対して有意に高い中和抗体価を示し、幾何平均比は1.69(95%信頼区間[CI]:1.51~1.90)であった。
・追加接種から1ヵ月後の時点におけるBA.4/BA.5に対する中和抗体価は、mRNA-1273.214 では776(95%CI:719~838)、mRNA-1273による追加接種では458(95%CI:421~499)であった。
・同臨床試験における追加接種前の値を基にしたBA.4/BA.5の幾何平均増加倍率(GMFR)は、mRNA-1273.214の被接種者で6.3倍(95%CI:5.7~6.9)、mRNA-1273の被接種者では3.5倍(95%CI:3.2~3.9)であった。
mRNA-1273.214は本試験データに基づきEU、英国、オーストラリアの規制当局へ承認申請を提出しており、他の規制当局へも順次申請を予定している。また、オミクロン亜系統BA.4/BA.5に対応する2つ目の2価ワクチン候補mRNA 1273.222についても、FDAの勧告に基づき開発が進められている。
(ケアネット 細川 千鶴)