米国・サウスフロリダ大学のAnthony M. Kendle氏らは、全米の代表的な大規模データベースを用いて、12年間にわたる妊産婦の不眠症有病率とその傾向を推定し、不眠症、妊産婦の併存疾患、重度の妊産婦罹患率(SMM)との関連を調査した。その結果、妊産婦の不眠症の有病率は年々増加しており、不眠症はSMMの独立した予測因子であることが明らかとなった。Sleep誌オンライン版2022年7月28日号の報告。
2006~17年の入院患者サンプルより、米国の妊娠関連入院の連続横断的分析を実施した。分娩中および非分娩中の不眠症および産科併存疾患の診断には、ICD-9およびICD-10コードを用いた。主要アウトカムは、分娩中のSMM診断とした。不眠症とSMMの傾向を推定するため、ジョインポイント回帰を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・分娩入院件数約4,700万件のうち、不眠症と診断された女性は2万4,625例であった。
・研究期間中の不眠症の年間発症率は、1万人当たり1.8から8.6に増加していた。
・不眠症の粗発症率は、分娩以外の入院の場合で6.3倍高かった。
・不眠症患者は、とくに神経筋疾患、精神疾患、喘息、物質使用障害などを併存していることが多かった。
・非輸血SMMの有症率は、不眠症患者で3.6倍高かった(2.4% vs.0.7%)。
・不眠症患者のSMMの割合は、年11%(95%信頼区間[CI]:3.0~19.7)で増加していた。
・併存疾患で調整した後においても、不眠症患者のSMMの割合は、24%増加していた。
(鷹野 敦夫)