アベマシクリブ+アロマターゼ阻害薬、進行乳がんのOS改善傾向(MONARCH 3)/ESMO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/09/13

 

 HR+/HER2-進行乳がん1次治療での非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(NSAI)へのアベマシクリブの上乗せ効果を検討した国際共同第III相MONARCH 3試験では、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)はアベマシクリブ併用群が有意に延長したことがすでに報告されている。今回、副次評価項目の全生存期間(OS)の第2回中間解析を行った結果、アベマシクリブ上乗せによりITT集団、内臓転移患者ともにOS中央値が12ヵ月以上延長したことが報告された。ただし、どちらも事前に規定された統計学的有意性は示されなかった。米国・Mayo ClinicのMatthew P. Goetz氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。

・対象:転移/局所再発のHR+HER2-乳がんの閉経後女性で、転移/局所再発後に全身療法を受けたことのない患者 493例
・試験群(アベマシクリブ群):アベマシクリブ150mg1日2回+NSAI(アナスロトゾール1mgまたはレトロゾール2.5mg)1日1回を病勢進行するまで投与 328例
・対照群(プラセボ群):プラセボ+NSAI 165例
・評価項目:
[主要評価項目]主治医判定によるPFS
[副次評価項目]OS、奏効率、安全性

 本試験の第2回中間解析は、ITT集団において約252イベント(最終OS解析予定イベントの80%)の発生後に実施することが事前に規定されていた。なお、OSの有意性の評価には、層別log-rank検定および事前に定義したエラー消費手法を用いている。

 主な結果は以下のとおり。

・第2回中間解析(データカットオフ:2021年7月2日、追跡期間中央値:5.8年)において、ITT集団のOS中央値はアベマシクリブ群67.1ヵ月、プラセボ群54.5ヵ月(HR:0.754、95%CI:0.584~0.974)と12.6ヵ月の差が認められたが、α消費手法による有意差を示す閾値に到達しなかった(p=0.0301)。また、OS改善傾向はどのサブグループでも同様にみられた。なお、病勢進行後にCKD4/6阻害薬を投与した患者の割合はアベマシクリブ群10.1%、プラセボ群31.5%だった。
・内臓転移患者のOS中央値はアベマシクリブ群65.1ヵ月、プラセボ群48.8ヵ月(HR:0.708、95%CI:0.508~0.985)と16.3ヵ月の差が認められたが、有意差は示されなかった(p=0.0392)。
・ITT集団のPFS中央値はアベマシクリブ群29.0ヵ月、プラセボ群14.8ヵ月(HR:0.518、95%CI:0.415~0.648、p<0.0001)であった。
・ITT集団の無化学療法生存期間(CFS)中央値は、アベマシクリブ群46.7ヵ月、プラセボ群30.6ヵ月(HR:0.636、95%CI:0.505~0.801)であった。

・アベマシクリブの長期投与による新たな安全性シグナルはみられなかった。

 本試験はフォローアップ継続中で、最終OS解析は2023年に予定されている。

(ケアネット 金沢 浩子)

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