初発双極性障害に対する薬物治療の傾向~20年間での変化

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/10/18

 

 東フィンランド大学のJuulia Poranen氏らは、過去20年間にフィンランドで新たに双極性障害(BD)と診断された患者における薬物療法のパターンについて調査を行った。その結果、(1)抗うつ薬の使用率が最も多い、(2)リチウムの使用率が減少しており増加させる必要がある、(3)抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)が十分に活用されていないことを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2022年9月30日号の報告。

 1996~2018年にフィンランドで新たにBDと診断された16~65歳のすべての患者2万6,395例をフィンランド全国レジストリより特定した。薬物治療のポイント実施率は、初回診断から5年後まで観察した。初回診断の暦年に基づき5つのサブコホートを作成し、診断3ヵ月後のサブコホート間での薬物治療の実施率を比較した。投薬に関するデータは、調剤データを用いてPRE2DUP法でモデル化した。

 主な結果は以下のとおり。

・全体的な薬物治療の実施率は、コホート全体を通じて5年間のフォローアップ期間中に減少していた。
・初回診断3ヵ月後に使用率が高かった薬剤クラスは、抗うつ薬(40.8%)、抗精神病薬(30.8%)、気分安定薬(29.2%)であった。
・リチウムの使用率は、コホート全体で5年間に5.9~6.5%の範囲で変動していた。サブコホートにおける初回診断3ヵ月後のリチウム使用率は、2016~18年が4.1%と最も低かった(1996~2000年:12.1%)。
・コホート全体の5年間でのベンゾジアゼピンの使用率は12.4~13.5%、Z薬の使用率は7.3~7.9%の範囲であった。
・抗精神病薬のLAIの使用率は、2016~18年に新たにBDと診断された患者で最も高かったが、0.8%にすぎなかった。

(鷹野 敦夫)